2015 Fiscal Year Research-status Report
火山噴火の植生へのインパクトと回復プロセスの高分解能な復元
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26350411
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
藤木 利之 岡山理科大学, 理学部, 講師 (10377997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 恵治 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (50167748)
奥野 充 福岡大学, 理学部, 教授 (50309887)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 植生変遷 / 花粉分析 / 火山噴火 / テフラ |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年6月に道東で新たに調査候補に挙げたヒョウタン沼、幌戸沼、温根沼、霧多布湿原およびその周辺の現地調査を行った。その結果、幌戸沼で調査が最適であると考えた。そして、2015年9月に、幌戸沼にてコアリングを行った。しかし、堆積物には砂層が多く、花粉分析には適しておらず、かつテフラが挟在していないことが判明した。道東の太平洋沿岸はどこも同じような状況のようであった。 2016年3月に北海道教育大学旭川校において研究会および公開シンポジウムを開催し、これまでの研究成果の報告を行った。年代測定では、茨散沼の年代をさらに増やし、テフラ分析では、さらに未発見のテフラ発見することを試みることとなった。茨散沼の花粉分析では、テフラ降下による植生への影響が認められないことが解った。層厚10~15cm程度のテフラでは、周辺の植生にほとんど影響しないと考えられた。しかし、現在も本湿地に生育するコタヌキモやモウセンゴケのような高さが数cmの湿地性植物には多大なる影響があったはずである。しかし、これらの植物の花粉生産量は非常に低く、今回の花粉分析では検出されなかった可能性もあり、今後、テフラの直下と直上の分析については、化石花粉の測定数を増やし、さらに詳しく検討する必要があると考えられた。また、テフラ降下による水質の変化の影響も考慮するため、直上と直下の珪藻分析も行うことを考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は新たな堆積試料を得ることができなかったが、茨散沼の詳細なデータを得ることができた。これにより、今回の分析では、テフラ降下による植生への影響がみられなかったが、高さが数cmの湿地性植物には多大なる影響があったと考えられたため、今後はテフラの直下と直上の化石花粉の側定数を増やす必要性があることが解った。
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Strategy for Future Research Activity |
裾合平の堆積物の花粉分析を進めるとともに、茨散沼の珪藻分析も行う。茨散沼と裾合平の年代測定結果をさらに増やし、テフラ分析では茨散沼で未発見のテフラ発見することを試みる。さらに、テフラ降下による道東のアイヌ社会への影響も考える。
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Causes of Carryover |
今年度テフラを挟在する良好な堆積物を得ることができなかった。そのため、昨年度に採取ができた裾合平の年代測定を2016年度に測定をする。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
堆積物の正確な堆積年代を把握するため、裾合平で1点の年代測定を依頼する。
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Research Products
(6 results)