2016 Fiscal Year Annual Research Report
Impact on the vegetation by the volcanic eruption and their recovery process
Project/Area Number |
26350411
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
藤木 利之 岡山理科大学, 理学部, 講師 (10377997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 恵治 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (50167748)
奥野 充 福岡大学, 理学部, 教授 (50309887)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 植生変遷 / 花粉分析 / テフラ / 年代測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで,茨散沼,旭岳,幌戸沼,ポロト湖で泥炭堆積物のコア試料を得た。幌戸沼では砂層が多く良好な泥炭堆積物は得られなかった。茨散沼,旭岳,ポロト湖のコア試料には広域テフラであるKo-c1,Ta-a,Ko-c2,Us-b,Ta-c,Ma-d,Ma-e,Ma-gが確認できた。花粉分析により周辺の古植生変遷およびテフラ降下と植生への影響の研究を行ったが,周辺の植生が地下水面の変化や人類の影響を受けたことは検出できたが,テフラ降下による植生への明瞭な影響は認められなかった。よって,層厚10~15 cmのテフラでは,周辺の植生にほとんど影響しない可能性が考えられた。モウセンゴケなどのような高さが数cmの湿性植物には多大な影響があったはずであるが,これらの植物の花粉生産量は非常に低く,今回の花粉分析では検出されなかった可能性もある。今後,テフラの直上・直下は,化石花粉の測定数を増やす必要がある。泥炭層は,陸上の堆積物の中では分解能の比較的高いものであるが,茨散沼で確認されたKo-c2に対比される第1層へのTa-aガラスの混入は,このような粒子の上下移動があり得ることを示す。両者の噴火間隔は45年であり,この程度の期間での植生への影響とその回復過程は,ある程度撹乱されてしまうであろう。また,花粉分析のサブサンプリング間隔の5 cmは,上記の平均堆積速度から年代に換算すると,約35~150年に相当する。テフラの堆積による影響を評価するには,さらに高密度なサブサンプリングが必要かもしれない。植生への影響とその回復過程を数十年オーダーの分解能で泥炭層から復元することがかなり難しいことが明らかとなった。また,阿蘇高野尾羽根火山やバリ島ブヤン-ブラタン火山についても斜面崩壊や湖沼堆積物の保存に関して検討を行った。湖沼堆積物では周辺の基本層序との比較が撹拌されていないことを確認する上で大切であることがわかった。
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Research Products
(15 results)