2014 Fiscal Year Research-status Report
公共交通利用促進を目的とした利用援助システムの構築に関する研究
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26350425
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
菅原 一孔 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90149948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 尚生 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10263485)
笹間 俊彦 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80362896)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バスネット / 経路探索 / 利用者履歴 / 運行状況履歴 / データ集計 / 統計的なデータ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本社会が迎えつつある高齢化社会では,公共交通の果たす役割は大きく,その維持管理に地方自治体が苦慮している例は多い.本研究計画では,情報技術の積極的な導入により,公共交通の利用の利便性を向上させることを目的としている. これまでの研究活動により,我々はバスネットと呼ぶ公共交通の利用援助を行うシステムの開発とその一般に公開した形での運用を行っており,一月あたりの利用者として数万件のアクセスがある. このようなバスネットの利用者の利用履歴を集計ならびに統計的なデータ解析を行うことで,公共交通の利用の目的を調べたり,利用の頻度などの1次的な集計・解析をするだけでなく,利用者が望むバス路線の構成や運行形態などのデータを抽出することができると考えている.本研究計画では,このようなデータ解析を行うシステムの構築を目指している.研究計画初年度の平成26年度には,上記の利用履歴を今後継続的に収集するための仕組み作りを行った. 本年度開発したシステムでは,バスネットの利用状況を詳しく把握することを目的に,システムの利用履歴をより詳しく残すよう工夫した.具体的には,出発地や目的地,あるいは利用時刻など単純なものだけでなく,経路探索をした時刻とその際に設定した出発時間との関連,あるいは一旦経路探索したにもかかわらず,改めて条件を変えて再検索した場合の入力条件の変化なども集計することとした.これらの詳細な履歴により,本システムの利用者の利用目的や,その後の行動を把握できると考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画で開発を目指すバスネットの利用者履歴の収集・解析システムの基礎的な部分ともいえる,利用者の利用履歴を収集する仕組みの考案・実装がほぼ完了した.実装を完了した利用者の利用履歴とは,①利用開始・終了時間,②利用端末の種類,③設定した出発地・目的地,④バスネットが提示した経路の乗車バス停・下車バス停.乗り換えがある場合には,⑤出発地から乗車バス停まで,および下車バス停から目的地までの徒歩距離.乗り換えバス停間の徒歩距離,⑥乗車バス停における待ち時間などである.さらに利用者アンケートとして,⑦利用目的,⑧探索結果における満足度などの回答を求める.また,利用者がスマートフォンを使用している場合には,⑨探索した位置などのデータをもとめる. 現在ではこれらの生データの集計システムを構築し,それらの特徴を視覚的にもより特徴を見いだしことが容易となるシステムの開発まで行った.今の段階では,得られたデータの集計程度であり,本研究計画で開発を目指す統計的なデータ解析とは呼べないが,利用者の利用頻度の多いバス停やそれらが存在する地域,あるいは利用者の多い時間帯などの解析を行うことができ,今後の解析の基本データともいえるものが収集できている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に構築した利用者履歴を収集するシステムを利用し,平成26年度内に収集した利用者履歴の試行的な解析を行うとともに,平成27年度も継続してデータ収集を行う.上記,現在までの達成で述べた利用者履歴の項目①から⑨までの利用者履歴から次のような解析を行う予定である. ①と④により利用開始時間と提示された解析結果から,その利用者がどのようなタイミングでバスを利用しようとしたか読み取る.バス利用の直前かある程度時間をおいた利用計画のための経路探索であるかなどである.②からは直接的に利用端末の種類が判明するので,上記①との相互関係も調べる.たとえば,スマートフォンや携帯電話からの利用は,バス利用直前の経路探索が,パーソナルコンピュータからの利用は,ある程度時間をおいたバスの利用のための経路探索であると予想しているが,その真偽を確認する.③からは利用者の多いであろうバス停名が読み取れるものと期待している.④からは①で述べた解析,ならびに利用者が多いであろう時間帯を読み取れると考えている.上記③と④から利用者の多いバス停や,それを利用する時間外が読み取ることができれば,バスの運行計画自体の設計にも大きな指針を与えることができるものと期待している.⑤からはバス停そのものの設置位置に関する情報が,⑥からはバスの運行ダイヤに関する情報が得られるものと考えている.⑦については,上記①から⑥までの解析結果と,利用者の利用目的の関連についての評価を計画している.⑧からは利用者の満足度,そして⑨から得られる情報により,本システムがどのような環境下で利用されているかを知る手がかりが得られればよいと考えている. 利用履歴の通常的な稼働後は,バスネットの関連し連携しているバス事業者や,県庁をはじめとする公共交通の実施者とも緊密な連携をとり,有効なベータの収集とその解析に努める.
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Causes of Carryover |
国際会議での発表を当初の計画では含んでいたが,該当する学会の開催日程と時間的な調整ができなかったため,今年度はその参加を見送った.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度の成果も含めた形での発表を,平成27年度に計画している.
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