2014 Fiscal Year Research-status Report
不確実状況下における農業計画問題に対する意思決定手法の研究
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26350432
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
矢野 均 名古屋市立大学, 人文社会系研究科, 教授 (00166563)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 多目的計画法 / ファジィ計画法 / 確率計画法 / ファジィランダム変数 / 対話型アルゴリズム / 農業計画問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、まず、ファジィ数と確率変数が混在する多目的計画問題を取り扱うための理論的研究を行った。この際、ファジィ計画法によるアプローチと確率計画法に基づく機会制約アプローチを用いて、対象とする問題を取り扱い可能な問題に変換した。また、ファジィ数と確率変数の2種類の不確実性を反映させたパレート最適解の概念を導入し、パレート最適解を求めるミニマックス問題を定式化した。定式化された多目的計画問題に対して、パレート最適解集合の中から、問題に含まれる確率的不確実さ、主観的曖昧さを考慮した満足解を導出する対話型アルゴリズムを提案した。提案した対話型アルゴリズムを野菜作経営計画問題に適用し検討した。 次に、ファジィ数と確率変数のみならず、ファジィランダム変数係数が混在する多目的計画問題を取り扱うための理論的研究を行った。ファジィ数と確率変数が混在する多目的計画問題の場合と同様に、ファジィ計画法によるアプローチと確率計画法に基づく機会制約アプローチを用いて、対象とする問題を取り扱い可能な問題に変換した。また、ファジィ数と確率変数とファジィランダム変数係数が混在する多目的計画問題を取り扱うために、3種類の不確実性の影響を反映させたパレート最適解概念を定義し、パレート最適解を求めるミニマックス問題を定式化した。定式化された多目的計画問題に対して、パレート最適解集合の中から、問題に含まれる3種類の不確実性を考慮した満足解を導出する対話型アルゴリズムを提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ファジィ数と確率変数が混在し、確率変数間の共分散を考慮した多目的計画問題を取り扱うための理論的研究と対応する凸計画法に基づく対話型アルゴリズムの提案し、多目的農業計画問題への適用に関する研究を行った(日本経営システム学会誌、31/3、pp.259-269, 2015)。ファジィ数と確率変数が混在し、確率変数間の共分散を考慮する必要のない多目的計画問題に対しては、線形計画法に基づく対話型アルゴリズムを提案した(Proc. of SCIS&ISIS2014, pp.23-28, 2014)。また、ファジィランダム変数係数を含む多目的計画問題に対する対話型意思決定手法に関する研究成果を明らかにした(Information Sciences, 272, pp.111-125, 2014)。さらに、ファジィ数と確率変数とファジィランダム変数係数が混在する多目的計画問題に対する対話型意思決定手法に関する研究成果については今後国際学会誌に掲載予定である。ファジィ変数係数、確率変数係数、ファジィランダム変数係数、ランダムファジィ変数係数を含む多目的計画問題に対する意思決定手法のみならず、複数の階層構造にある意思決定者を含む多目的計画問題に関する意思決定手法を系統的に解説した学術書を刊行した(不確実状況下における多目的計画問題に対する意思決定手法、丸善プラネット、2015年2月、428page)。2014年5月には、国際学会IMECS2014において発表したファジィランダム変数係数を含む多目的計画問題に関する論文に対して最優秀論文賞が授与された。2015年3月までの1年間において関連する研究成果は、関連論文6件、著書5件、学会発表1件であり、十分な成果があったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度は、確率係数やファジィランダム変数を含む多目的計画問題に対して、確率計画法の「機会制約アプローチ」を用いて、取り扱い可能な問題に変換した。機会制約アプローチでは生起する確率をコントロールするため、何回かは制約を大きく外れることを許容することを前提としている。しかし、農業計画問題等の現実の意思決定問題では、確率変数の実現値との差異の大きさが重大な影響を及ぼす可能性がある。確率計画法では、このような差異に対応してペナルティ(リコース)を課すリコース問題によるアプローチが提案されている。今年度は、単純リコース問題によるアプローチに基づく、ファジィ数と確率変数が混在する多目的計画問題を取り扱うための理論的研究を行う。単純リコース問題では、実現値との差異をペナルティとして目的関数に上乗せすることを前提としているため、対応する重み係数をどのように設定すべきかという重大な問題が残されている。そこで、重み係数を設定することなく、目的関数の達成度のみならず実現値との差異に関する満足度を考慮した満足解を導出するための、多目的単純リコース問題に対する意思決定手法の研究を行い、農業計画問題への適用を行う。
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Causes of Carryover |
当初、国際会議出張を予定しており、そのための費用として30万円を前倒し請求した。しかし、勤務する大学における役職(入試委員長)の関係で、出張を取りやめたことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年3月には、勤務する大学における役職(入試委員長)を解かれる予定であるので、国内学会および国際会議出張により有効活用する予定である。
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