2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26350437
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
森戸 晋 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50134193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今泉 淳 東洋大学, 経営学部, 教授 (00257221)
椎名 孝之 千葉工業大学, 公私立大学の部局等, 教授 (90371666)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 鉄道の計画 / 組み合わせ最適化 / 乗務員運用計画 / 乗務員行路作成 / 列生成法 / 必要車両数算定 / ダイヤ作成 / 確率計画法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、鉄道に関する様々な計画のなかで乗務員運用と車両運用、ならびにダイヤ作成を中心に、最適化手法、とりわけ列生成法や確率計画法を駆使して、計画立案のアルゴリズムの構築と実際のデータに基づく性能評価を行っている。 乗務員運用計画では、すべての列車が運行できるような乗務員の一回の勤務の内容を決める行路作成と、乗務員の月間スケジュールを定める交番作成の両者を扱い、ともに列生成法にもとづく解法を開発するとともに、計算実験によってその性能を評価した。行路作成については、通常、ダイヤが平日と休日によって異なることと、実際に使われる行路の大半が夜勤行路であることに着目し、異なるダイヤが存在するもとでも使用することが可能な行路を生成できる解法を提案し、JR奈良線のデータをもとに解法の評価を行い、成果を2014年3月に開催された国際会議RailTokyo2015で発表し、注目を得た。交番作成についてはさらに研究を継続中である。 一方、より中長期的な計画を想定して、大阪周辺のJR路線を念頭におき、複数の車両形式の存在や分割併合の実施を想定した上で、ダイヤによって定められる列車を運行するために必要な車両数を算定するモデルを多品種ネットワークフロー問題として定式化し、車両形式数、路線の延伸や分割併合などの運用施策の変更が必要車両(編成)数に与える影響を分析し、RailTokyo2015で発表した。 列車ダイヤについては、余裕時分を設定することによって遅延に対して頑健なダイヤを作成するという考え方があるが、多段階確率計画モデルによって、列車の余裕時分を、総遅延時分の期待値を最小化するように配分することを試みている。この問題は、大規模シナリオおよび整数条件を有する確率計画問題となり、厳密解を求めることは難しいが、鉄道固有の問題構造を利用し、効率的に問題を解く方法を考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究計画は概ね順調に遂行できたと考えている。乗務員運用計画のうち、行路作成問題への列生成アプローチは、とりわけ、平日ダイヤ/休日ダイヤという2種類の異なるダイヤが存在する状況でも、列生成法に基づくアプローチで効率的に行路を求められることが明らかになった。交番作成問題に対する列生成アプローチの研究も順調に進んでおり、論文(英文)執筆の最終段階にある。 ダイヤ乱れを考慮した乗務員運用計画に関する研究は若干遅れ気味である。代わりに、当初27年度以降の実施を想定していた車両運用「実施」計画に関する研究と、プラットフォーム使用計画(Train Platforming Problem)や東京駅のようなターミナル駅の「最大能力」を評価する研究が進みつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
行路作成問題の列生成法、ならびに、必要車両数算定に関する研究は、補足的な計算実験と学術誌への投稿論文作成を中心に進める。 複数のホームを有する駅での列車のホーム割り当てと、それに基づく駅(とくに、東京駅のようなターミナル駅)のスループット容量の評価は、列車への需要が現状以上に増えると予想される路線(東京駅からのJR東日本の新幹線など)において重要な検討項目である。平成27年度は、東京駅を終端駅とするJR東日本の新幹線や東海道新幹線を対象にとりあげ、隣接駅である上野や品川を含めた上でスループット容量の評価を行う。 また、平成26忍土の車両運用の調査の結果、在来線では基本的に平日ダイヤ/休日ダイヤの2つの異なるダイヤに基づいて車両や乗務員が運用されているのに対して、新幹線のダイヤは平日/休日の区別がなく、日毎に少しずつ異なるダイヤとなっている。このような列車運行下における車両運用や乗務員運用を検討する。車両運用に関しては、検査制約などを考慮したとき、従来型の交番計画における循環的計画の成立が困難になるため、車両運用「実施」計画について検討を進める。
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Causes of Carryover |
森戸に関しては、研究補助者給与が当初予定していた金額より若干少なめだったため、5,694円の残額が出た。 椎名に関しては、2015年度中に、国際会議2件(International Symposium on Scheduling 2015, 2015年7月(神戸)および、OR2015, 2015年9月(オーストリア、ウィーン))での論文発表を予定しているため、2014年度中に使用予定であった金額を、2015年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
森戸分(5,694円)に関しては、2015年度に開催の国際会議OR2015, 2015年9月(オーストリア、ウィーン))の海外出張費用の不足分の補てんとして使用する予定である。 椎名分(450,000円)に関しては、2015年度に開催の2件の国際会議、International Symposium on Scheduling 2015, 2015年7月(神戸)および、OR2015, 2015年9月(オーストリア、ウィーン))での論文発表に関連して使用する予定である。
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