2015 Fiscal Year Research-status Report
自律無人飛行体を用いた遭難者救助支援システムの研究・開発
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26350450
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Research Institution | National Maritime Research Institute |
Principal Investigator |
金 岡秀 国立研究開発法人 海上技術安全研究所, その他部局等, グループ長 (30396907)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 低空飛行 / 衝突回避 / 誘導航法 / 制御 / 最短時間 / 風外乱 / 自律無人飛行体 / 遭難 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題に関連し、当該年度は次の項目を研究・開発した。 1) 最短時間捜索飛行を実現する誘導・制御アルゴリズムの開発: 風外乱中で目標位置までの最短時間移動を実現する飛行体の誘導航法を開発した。Pontryaginの最小原理に基づき、任意の非最適飛行の結果から最適飛行経路を導出する本手法は、変分法から求められる最適誘導則を用いており、GAや動的計画法等と比べはるかに短い計算時間で全域最適解を探索できる。 2) 低空飛行制御アルゴリズムの開発: 地面や地上障害物との衝突を回避しながら、低空域で捜索飛行が行える低空飛行制御アルゴリズムを開発した。開発したアルゴリズムは飛行区域内の地形や地上障害物の情報をもとに、Gradient Descent Search (GDS)法を用い衝突を防止しながら定められた許容最小高度に最も近い高度で地上に接近する目標航路点(waypoint)を導出する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の実施において当該年度はおおむね順調に進展したと自己評価している。各項目別の達成度は、 1) 最短時間捜索飛行を実現する誘導・制御アルゴリズムの開発: 90% 2) 低空飛行制御アルゴリズムの開発: 100%で、何れも当初計画していた目標をおおむね達成している。当該年度の研究・開発項目では何れも数値モデルの開発とそれを用いたシミュレーションが主たる実施内容となっており、項目2)においてはその成果を既に国際自動制御連盟(IFAC)主催の国際会議で発表した。また、項目1)と2)の成果は現在ともに国際学術雑誌への投稿に向け準備が進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度の研究・開発においては次の2項目を主要実施課題としている。 1) 所内のグラウンドにおける捜索飛行訓練実験 2) 山岳や海上など遭難現場を想定したフィールドにおける模擬捜索飛行実験 平成27年12月に施行された改正航空法により、事前許可のない無人飛行機の飛行は法律で原則禁止となっている。こうした現状を踏まえ、研究・開発の最終年度であるH28年度にはまず許可を必要としない海上技術安全研究所の所内グラウンドで開発した誘導航法による捜索飛行の訓練を実施する。次に、飛行訓練による誘導航法の検証が完了した段階で、国土交通省からの許可を得て、山岳や海上における模擬の遭難者捜索飛行実験を実施する。
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Causes of Carryover |
次年度は模擬の遭難者捜索飛行実験を計画しており、それに伴う物品輸送や実験参加者の出張等に費用が発生する。また、成果の対外発信のため国際会議での発表や国際学術雑誌への論文投稿も計画しており、こちらにも費用が発生する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
模擬の遭難者捜索飛行実験における物品輸送費、実験参加者の出張費として使用する。また、国際会議の参加費や出張費として使用する。国際学術雑誌への投稿論文が採択された場合、論文掲載料としても使用する。
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