2014 Fiscal Year Research-status Report
電磁気を使用した経鼻胃管の誤挿入防止のための管先端位置検査法の開発
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26350453
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
後藤 雄治 大分大学, 工学部, 准教授 (00373184)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 経鼻胃管 / 交流磁界 / 電磁気計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、経鼻胃管先端部に配置する3軸空芯検出コイルの構造の決定とその開発を行い、また体外に配置する交流磁界発生用コイルの作成や、交流磁界受信装置の開発を実施した。 (1)3軸空芯検出コイル付き経鼻胃管の開発 一般的な経鼻胃管の構造は、直径が4mm程度で肉厚が0.5mm程度、長さが130cm程度の樹脂製である。そこで本年度はこの管の内径に収まるサイズの微小3軸空芯検出コイルの開発を行い、シリコンを使用して管先端部に設置・固定した管の開発を実施した。ここでは予備も含め合計3本の3軸空芯検出コイル付き経鼻胃管の作成を行った。 (2)印加磁界発生及び磁界受信装置の開発 ここでは、腹の上部に非接触で配置する交流印加磁界用コイルの作成を行った。この印加磁界用コイルは同形状の10個の交流励磁コイルとした。ここでは、有限要素法を使用した三次元電磁界解析を使用し、交流励磁コイルの最適形状や巻き方、検査に最適となる10個の励磁コイルの配置や磁化条件等の算出を行い、設計・作成を実施した。また、この10個の励磁コイルが発生する磁界の大きさは、最大で0.1T程度(一般的に市販されているピップエレキバンに使用される磁石が発生する磁界と同程度)に設定した。交流磁界の印加方法は、10個の励磁コイルに0.01秒間隔で1個ずつ交流電流を通電させ、最大でも1秒未満の時間で10個の励磁コイル全ての通電が完了する装置の作成を行った。 本手法で使用する3軸検出コイルは形状が微小であるため、出力電圧が小さく、多くの電磁気ノイズが含まれる事が予想される。そこで、3軸検出コイルからの微弱な出力電圧信号を増幅し、さらにノイズ成分を除去するフィルター機能を備えた計測システムの開発も実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
装置構造の改良や装置の大きさ、検出コイルのコイル巻数や寸法等の若干の変更はあったが、概ね計画通り研究開発が進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎的な実験を研究室レベルで実施できるまでの基本装置開発は平成26年度で概ね実施できた。今後は、短時間で経鼻胃管先端部(3軸検出コイル部)の位置を計算し、その位置の奇跡を視覚的に、リアルタイムで表示させるプログラムの開発を行い、十分、その位置推定精度や安全性等を大学の研究室内で実施し、確認した上で、人体での臨床試験に持ち込む予定としている。平成27年度では、3軸検出コイル部の位置推定アルゴリズムの開発に多くの時間を費やす予定である。このアルゴリズムは、遺伝的アルゴリズムの発展版である進化戦略(Evolution Strategy, ES)を使用する予定であるが、この手法以外の方法も随時検討を進め、最終的にどの推定方法が最も有用であるかについて、検討を行う予定である。また、臨床試験準備として、人体模型での応用実験も実施する予定であり、その準備も進める。さらに、共同研究先の病院での倫理委員会で、臨床試験の許可を再確認し、なるべく早めに臨床試験が実施できる体制を整える予定である。
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Causes of Carryover |
研究に必要となった物品に割引価格があり、その価格に消費税を加えた合計金額を考慮した場合、研究費の残高に1円分端数が出た。また、この1円の価格を有する研究に必要となる物品が見当たらなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の物品研究費に1円を上乗せし、消費税分も考慮に入れて研究に必要となる物品材料費に使用する予定である。
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