2014 Fiscal Year Research-status Report
車の走行に伴う音響信号を総合利用したタイヤ情報収集システムの開発
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26350459
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Research Institution | Daido University |
Principal Investigator |
上田 浩次 大同大学, 情報学部, 教授 (80553213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌倉 友男 電気通信大学, 産学官連携センター, 特任教授 (50109279)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 冬タイヤ / 路面振動 / タイヤトレッド / パターン加振 / 周波数解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,車の走行時に,タイヤと路面との接触によって発生するタイヤ騒音と路面振動の音響信号を対象として,その信号に含まれるタイヤの特徴量から夏タイヤと冬タイヤの判別を行う。本研究が対象とする路面振動は,数十Hzから数kHzの比較的高い周波数の振動であり,この高周波振動の振る舞いは路面の構造・材料によって変化し,その振動姿態は縦波,横波,板波,そして表面波などを含んで複雑に伝搬すると予想される。しかし,これまでは,車両走行に伴う路面の上下振動成分のみを対象としてきた。そこで,平成26年度においては,その複雑な振動伝搬にも目を向けるため,3軸振動センサおよび多チャンネルレコーダを準備した。そして,当初から許可を得ていた東海北陸道各務原IC内の試験ヤードにおいて,夏タイヤ装着車両および冬タイヤ装着車両(以下,「夏冬タイヤ装着車両」と略称)の走行時の3軸振動センサ出力(時間波形)データを収集した。 この収集データを用いて,フーリエ変換等の信号処理を施し,各軸の周波数応答および各軸間の関連性について確認,検討を行った。その検討の結果,まず,この路面振動の伝搬においては,表面波(レイリー波)としての性質を示す可能性を見いだしている。さらに,これまで扱っていない1kHz以上の比較的高い周波数成分において,夏タイヤと冬タイヤの応答に違いがあることも確認している。その他,各軸間の相関に注目したところ,冬タイヤの軸間相関は夏タイヤのそれに比べて,走行速度に関係なく,相関が高いという新たな知見も確認した。 しかし,これらの内容に関しては,夏冬タイヤ装着車両各1台に対する結果であり,あらゆる走行・気象条件で成り立つかの一般性に関する確認が必要である。そこで,平成27度においては,モニター車両の台数を増やし,そのデータ収集および同様の検討を継続し,新たな視点に立った判別方法の検討も行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前項9の研究実績において述べたように,本研究の目的は,車の走行時に,タイヤと路面との接触によって発生するタイヤ騒音と路面振動の音響信号を対象として,その信号に含まれるタイヤの特徴量から安定した夏タイヤと冬タイヤの判別を行う方法,方式について検討し,その成果を用いて,ロバストで高精度な検出装置の試作を行うことにある。 この目的に対して,平成26年度においては,計画したとおり,新たな3軸振動センサおよびそのセンサ出力の同時記録が可能な多チャンネルデータレコーダを準備することができた。そして,この新しい計測機器を用い,事前に使用許可を得ていた東海北陸道各務原ICにおいて夏冬タイヤ装着車両の走行時の路面振動データを収集した。また,この収集データを解析した結果,新しい特徴抽出の可能性を見いだした。このように,計画してきた計測機器の購入および実験フィールドにおけるデータ収集が実施できたことにより,研究の進捗状況としては,おおむね順調であると評価している。 この他,本研究内容を査読付論文としてElsevierのApplied Acousticsへ発表したところ,Most Downloaded articlesとして評価され,2014年10月には,1ヶ月間のダウンロード回数が6587回におよぶなど,研究内容に対する対外的な関心の高さも評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに得られた3軸方向の振動成分に関して,新しい特徴抽出方式の可能性を得ている。しかし,この内容は,夏冬タイヤ装着車各1台に対する検討結果である。そのため,一般性を得るためには,複数車両による同様の計測が必須になる。 また,利用する3軸振動センサは高感度かつ環境変動に対してロバストである必要があり,センサの最適化に関しても検討が必要になる。さらに,その最適化に向けて,センサの試作等も考慮に入れる必要がある。 その他,インパルス法による振動モードを精密に測定して,タイヤ加振を忠実に抽出できるかを検討することにより,安定な特徴抽出方式の検討も継続的に行っていく必要がある。
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Causes of Carryover |
当初予定していた謝金が発生しなかったため,次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新しいセンサの検討が必須であり,センサに関連した物品の購入に充当する予定である。
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