2014 Fiscal Year Research-status Report
木造建築物の余震による倒壊危険性予知に関する安全技術の研究
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26350468
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Research Institution | National Institute of Occupational Safety and Health, Japan |
Principal Investigator |
高梨 成次 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, その他部局等, 研究員 (60358421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 弘樹 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, その他部局等, 研究員 (90342617)
大幢 勝利 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, その他部局等, 研究員 (50358420)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 損傷評価 / 残余水平耐力 / 余震 / サイディング / くぎ |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の設計・施工基準に合致した木造建築物の一部分を切り出した試験体を作成した。試験体の耐力要素は、現在の主流である合板によるものとした。外壁の仕上げはサイディング仕上げとした。サイディングの固定方法は、くぎによる安価な仕様と、専用の金物による比較的高級な仕様のものの二種類とした。それらの試験体を用いて、静的な正負漸増繰り返し加力実験を実施した。実験の目的は、外壁仕上げの違いが力学的特性に及ぼす影響を調べること及び建物が地震被害を受けた時の外壁の損傷状況と残余水平耐力の関係を定量的に示すこととした。実験の結果、外壁の仕上げの違いが耐力等の力学的特性に及ぼす影響は軽微であることが分かった。外壁の損傷状況と残余水平耐力の関係に関しては、サイディングをくぎによって固定した場合には、くぎの抜け出し状況から残余水平耐力を推定することは困難であることが分かった。同時に、くぎ部分ではサイディングにひび割れが観測されており、くぎ周辺のひび割れ状況から、残余水平耐力を推定できることが分かった。サイディングを専用金物で固定する試験体においては、外壁の開口部周辺のひび割れ幅から、残余水平耐力を推定できることが分かった。また、サイディングとサイディングの水平方向におけるずれ量からも残余水平耐力を推定できることが分かった。これらのひび割れ幅の測定およびサイディングのずれ量は、加力中の計測ではなく、地震終了後にあたる除荷時の計測値とした。さらに、変形角が1/30以上になると急激に耐力が低下することが分かった。この力学的な特性を模擬するための解析モデルを構築し、余震による倒壊危険性に関する検討を数値解析シミュレーションによって行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画では、現行基準に合致した木造建物の骨組みにサイディング仕上げを施した試験体を作成し、外壁の損傷状況と残余水平耐力の関係を明らかにすることとしたが、おおむね計画通りの成果が得られていると考えることが出来る。 さらに、最大耐力を発揮した後の耐力低下が想定していた以上に大きかったため、余震による倒壊危険性に関する検討を行なっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、木造建築物の外壁の仕上げでサイディングと同様に多用されている、モルタル湿式仕上げの試験体を設計・製作して、実験によって、その力学的特性を調査し、余震による倒壊危険性について検討する。また、地震によって損傷を受けたときの外壁の損傷状況と残余水平耐力の関係に関する定量的な知見を得ることを目的として研究を推進する。
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Causes of Carryover |
旅費にかかる人数が計画よりも少なくなり、計画していたよりも旅費の単価を減額できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試験体の作成および試験機の賃貸借料として予算を使う。また、計画していた以上の成果が見込めるため、掲載に費用が発生する日本建築学会の論文報告集に投稿する計画としている。
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