2016 Fiscal Year Research-status Report
超高磁場MRIに好適かつ安全な撮像原理の確立と品質管理の基盤整備
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26350471
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
上口 貴志 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳機能解析研究室, 主任研究員 (80403070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 幸子 大阪大学, 医学部附属病院, 医療技術職員 (40623054)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | MRI / 超高磁場 / 画質 / 脳 / 撮像技術 / 磁気共鳴 / 定量評価 / ファントム |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト用超高磁場(7T)MRIにおいて、高精度かつ安定的に撮像を行うための計測技術の開発を昨年度に継続して実施し、今年度はとくにヒト用MRIの高磁場化で問題となる体内でのRF磁場の不均一性をいかに改善するかに注力した。この課題に対しては、たとえば多チャンネルRF送信のような方法が原理的には優れているが、均一なRF磁場を得るには煩雑なパラメータ調整が被験者ごとに必要であり、かつ精度よくSARレベルを推定することが容易ではないために安全性および実用性で難がある。そこで十分なRF磁場が得られにくい領域に対してRF磁場を強めるような作用をもつパッドを試作し、画質改善を試みた。試作したパッドは安全性の観点から人体と同程度以下の誘電率をもつものとし、さまざまな条件下でのテストによりRF磁場の不均一性を大幅に軽減できることが示された。このようなパッドを用いた7T MRIの応用例として、RF磁場の不均一性に影響されやすい拡散画像の撮像を実施した。脳拡散MRIではテンソル解析がこれまでの主流であったが、より解剖学的微細構造を反映した複雑なモデルへの当てはめを行い、軸索等の細胞密度、走行方向のばらつき、などの情報を得ることが可能であった。 今年度はまた、画質・品質評価のためのファントム開発も併行して行い、多用される多チャンネル型頭部用コイルでも測定可能ないくつかの試作品を得ることができた。これらには空間分解能等の画質を評価するものや、拡散係数の絶対評価を行えるものが含まれる。後者は測定結果に内在する系統誤差をも一定温度下で絶対評価できるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、超高磁場MRIの特性を多角的に解析・評価し、脳イメージングに最適な撮像技術が着実に蓄積されてきている。安全上の問題もない。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで開発・蓄積してきたさまざまな技術や経験を来年度(最終年度)に論文として報告する。またRF磁場均一性向上のためのパッドや画質・品質評価のためのファントムについても改良を加える。
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Causes of Carryover |
電磁場シミュレーションに用いる計算機・ソフトウェアの調達を行わなかったこと(今年度は実験的に推定したため)、論文投稿に至らなかったこと、およびファントムの試作数が少なかったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計算機の調達、研究成果の論文投稿費用、ファントムの試作費用等に使用する。
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