2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26350476
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
為栗 健 京都大学, 防災研究所, 助教 (70335222)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 桜島火山 / 火砕流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は桜島昭和火口で発生する火砕流を伴う噴火の発生メカニズムを解明することを目的としており、地球物理学的観測(噴火に伴う地震・空気振動、前兆地震、地盤変動)から火砕流発生を決定付ける要因を検出し、噴火準備過程の段階で火砕流の発生予測が可能か検討を行っている。 京都大学防災研究所火山活動研究センターにおける坑道内の傾斜計・伸縮計による地盤変動、地震、空気振動観測、および桜島島内に設置している2点の臨時地震観測点のデータ取得を継続した。 定常および臨時観測から昭和火口で発生する火砕流を伴う噴火の前駆現象として、噴火の数時間前から山体膨張を示す地盤変動が観測され、噴火の直前には膨張レートが減少もしくは停滞することが多い。火砕流を伴う噴火の場合は、その減少もしくは停滞する時間が長く、直前の群発地震活動が活発である。噴火に伴う空気振動については、火砕流を伴う場合は初動の立ち上がりが緩やかな場合が多い。これらの相違は火砕流を伴う噴火の準備過程で火道内のマグマの状態と噴出過程が他の噴火とは異なることを示唆している。 噴火の地震動解析から火道内のマグマやガスの移動によって生じていると考えられる位相が見出された。火砕流を伴う噴火の地震動ではその位相の周期が長くなり傾向が見られた。 次年度は火砕流を伴う噴火の地球物理学的データの特徴をまとめ、火砕流を伴う噴火の発生場の解明および火砕流発生予測について総括する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2006年以降活発な噴火活動を続けていた桜島火山の昭和火口であるが、2016年7月から噴火が停止している。定常および臨時観測によって火砕流を伴う噴火に関わるデータ取得を行っていたが、2014年以降の火砕流発生頻度の低下、2016年以降の噴火停止により必要なデータ取得が十分ではない。京都大学防災研究所火山活動研究センターに保管してある過去のデータを元に本課題研究開始前の火砕流現象のデータを用いて解析を進めているが、データの解析に時間を要しているため研究計画に遅延が発生している。
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Strategy for Future Research Activity |
昭和火口の噴火停止に伴い解析に必要なデータが不足している。それを補うために京都大学防災研究所火山活動研究センターに保管してある過去に発生した火砕流を伴う噴火の際に観測された地球物理学データを解析に加えている。本年度は本課題研究開始から得られたデータと過去データを合わせ、火山性地震および地盤変動における火砕流発生の前兆現象と空気振動および地震波形解析によって得られる火道内の物理現象の推定から火砕流発生を決定付ける要因を明らかにし、火砕流発生予測について取りまとめを行う。
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Causes of Carryover |
研究対象としている桜島火山昭和火口の噴火が2016年7月以降停止しており、解析に必要なデータが不足している。京都大学防災研究所火山活動研究センターに保管してある過去データを補足的に解析に加える作業を行っており、研究計画に遅延が生じているため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越額はデータバックアップ用HDDの物品費および論文投稿費用、国際学会(AGU、米国)での研究成果発表のための旅費として使用する。2017年度中に成果をとりまとめる予定である。
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Research Products
(1 results)