2014 Fiscal Year Research-status Report
臨界現象から捉えた多種の地震先行現象と地震との因果性に関する検討
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26350483
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上田 誠也 東京大学, 地震研究所, 名誉教授 (60011459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鴨川 仁 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (00329111)
上嶋 誠 東京大学, 地震研究所, 准教授 (70242154)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 地震 / 臨界現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
Natural time 概念はk1 が0.07 に収束することによって臨界現象における臨界点の発生時を認定できることを既にいくつかの地震について示したので、ギリシャにおいては短期予知に有効であるとされている。近年ではk1 の分布変動に着目し、時間変化を調べたところ、1983 年以降の大地震の前ではほぼ常に変動があり、特に2011 年東北地方太平洋沖地震前では最大の変動があることがわかった。これらは米国アカデミー紀要に論文発表した(Sarlis et al., PNAS, 2013) 今年度は、これらの変動の空間的相関について精査し、日本の大地震の前には、震央の付近のみにk1 の分布変動が見られたため、この結果は論文化し、出版した。さらに、通常のConventional Timeでの解析に比べ、Natural Time解析がどの程度優位なのかについても議論を行った。その結果、Conventional Timeではk1の分布にはピークが発生しないが、Natural Time解析の場合、k1の分布にはピークが生じ、そのピークは0.07の周辺になることがわかった。また、b値が異なる地震活動データをNatural time解析に適応するとk1の分布はb値に関係することが分かった。地震発生の順番をシャッフルしたカタログに対してNatural time解析を行ったところ、真のカタログとシャッフルのカタログには統計的に差異があることが分かった。これらの結果は現在論文に取りまとめている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
著名誌に論文出版が行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
大地震前のk1 の統計的性質一般についてはETASを用いた合成地震カタログ、地震の順序をシャッフルしたカタログからの結果とも比較しつつNatural time解析の有用性を検討する。
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Causes of Carryover |
本科研費において複数の論文を手がけている関係上、発表予定だった研究成果の取りまとめが遅れ、参加予定であった学会での発表が難しくなり学会参加を見送った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
使用計画としては、27年度のIUGGにおいて研究成果に取りまとめが遅れた研究の発表を行予定である。
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