2014 Fiscal Year Research-status Report
災害対策に必要な捕捉損失のない固体降水量計測機器の実用化に関する研究
Project/Area Number |
26350485
|
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
熊倉 俊郎 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00272865)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | snowfall observation / snowfall amount / hydrometeor measurement / discrimination |
Outline of Annual Research Achievements |
測定機器の作製については、既存の融雪パイプコントローラーのセンサを入れるパッケージに、受光・発光素子それぞれ5個を水平に2列に並べた最終形に近いものを作製し、新しく設計したAD変換ソフトによりPCでデータ収録を行った。場所は新庄市にある雪氷防災研究センターの降雪実験棟と長岡市の雪氷防災研究センターで、他の機器との比較観測を行った。その結果、降雪を捉えるには十分な性能を確認したが、弱い雪を計測するには若干ノイズレベルが高い結果となった。ノイズの少ない回路の導入については次年度以降検討する。また、今年度は陸別と上越での観測は見送り、同程度かそれ以上の比較機器が揃っている長岡での観測に専念した。その結果、確実な計測ができ、かつ、比較データも多数取得することができた。これから詳細な解析を行う予定だが、従来機器と同様、雪片とあられの判別は少なくとも可能であるようだ。 次に、実験室にて粒径ごとの観測可能領域の測定を行った。粒径を3種類選び、測定可能領域をマッピングし、今後に向けた基礎データを取得した。 実験機器の数値シミュレーションモデルの作成については、幾何光学的な反射を基本とするモデルを構築した。擬似降雪モデルについては計画通りに完成したが、これに与える粒径分布の作成についてはいくつか作成しているが、統計的な議論ができるだけの数はまだ処理していない。受光・発光素子1組の反射モデルについても完成している。 今年度の計画には入れていなかったが、透過型粒子判別機器についても実験の実施と考察を行った。この種の機器は反射型よりも粒子判別機器として扱いやすく、考察もしやすいという利点があった。既販の機器と同等な透過型粒子判別機器を使う機会を得たので、既販の機器では取れない信号の生データを取得して解析した。今後、その知見を反射型機器の信号処理アルゴリズムに取り入れることにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)反射型計測機器の作製:観測可能な機器を作製した。まだノイズレベルが高い問題があるが、おおむね順調である。 (2)実機のシミュレーションモデル:任意の粒径分布に従った大きさの固体降水粒子をランダムに落下させるモデルは完成した。測定システムとして発光・受光素子が1組のモデルは完成し、実機で測定した信号と比較可能な状態まで作成した。今後の課題は、実機の信号処理と同じ手法を取り入れること、複数組の発光受光素子を配置できることである。なお、モデルで用いる粒径分布は作成中であり、大規模な連続集計を行う手前の状態まで到達している。問題なのは一定の降水種別の継続時間が短く、単純に集計してよいかを確かめる必要があることである。これは当初から予想されていたことではあるがかなり面倒な手続きであることがわかってきている。今後、材料がそろった時点で重複率の導出や実際の観測との比較をおこなっていくつもりである。 (3)比較観測:今年度は長岡市に位置する雪氷防災研究センターの降雪粒子観測施設での野外実験を主に行った。それとは別に、夏季に新庄市にある雪氷防災研究センターの降雪実験棟での人工降雪を用いた予備実験も実施した。今年度は観測機器のプロトタイプの作製が目的なので、申請書にある計画よりも進行状況に応じた適切な実験・観測が行えた。なお、雪氷防災研究センターには申請時よりも多くの比較機器が設置されており、当初の目的を達成するための比較材料は十分にある。 (4)粒子種別、降水量の同時導出のアルゴリズム:観測結果が得られたばかりなので次年度の課題とする。これは計画通りである。しかしながら、透過型粒子判別機器から直接生データを得られる機会を得たので、これによって得られる知見を取り入れていくことも考える。この点は研究の目的とはしていなかったが、より高度なアルゴリズム開発の足掛かりになると期待できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
だいたい予測通りに研究が進行していると思われるので、申請書に則って推進していく。
|
Research Products
(4 results)