2015 Fiscal Year Research-status Report
実症例再現と脳神経伝達機能評価を活用した時空間統合脳損傷評価への展開
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26350495
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮崎 祐介 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (70432135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲次 基希 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (00422486)
佐藤 勝重 駒沢女子大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80291342)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 傷害バイオメカニクス / 頭部外傷 / びまん性軸索損傷 / 実体モデル / 膜電位計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では実験・計算頭部外傷バイオメカニクス技術により,頭部剛体運動から脳実質変形を経脳の機能的損傷に至る過程を結び、時空間統合的に重症脳損傷メカニズムの解明を目指すことを目的としている.本年度は,頭部剛体運動と脳実質変形の関係の解明のために,脳震盪事例の再現による耐性値の検討を実施した.さらに,動物実験に基づく神経回路の機能損傷については,引き続き動物実験を実施するとともに,同実験系をシミュレーションにより再現し,ひずみ分布と脳機能的損傷との関係について検討した. 具体的には頭部剛体運動と脳実質変形の関係解明のために,既発表の外部文献記載のアメリカンフットボール時の脳震盪発生および脳震盪発生ケースに着目し,これらのケースにおける頭部剛体運動を頭部有限要素モデルの入力条件として与えた症例再現シミュレーションを実施した.その結果,頭部剛体回転運動パラメータと脳実質ひずみの相関関係について明らかにした. 加えて小児の頭部モデルを用いて病院等から報告される実症例を再現し,実症例時の頭部の回転運動と頭蓋内脳挙動の関係について実験的にデータを取得した. さらに,脳の機能的損傷に関する研究として,昨年度から引き続きラット脳スライスにひずみを負荷した際の活動電位について評価し,本年度は新たにラット脳有限要素モデルによりひずみ分布との関係について検討した.具体的には,昨年度製作した標本を静的に伸張させる静ひずみ装置と,動的に伸張させる動ひずみ装置を用いて,ひずみを負荷した状態で膜電位解析を行った.加えて,ラット脳有限要素モデルを構築し,これを用いて静ひずみおよび動ひずみ実験の再現シミュレーションを実施した.これにより活動電位計測範囲内におけるひずみ分布と膜電位分布との関係を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
頭部剛体運動と脳実質変形のスケール間の関係については,これまでの実体モデルと有限要素モデルを活用して,その耐性レベルにめどをつけた. 脳の機能的耐性に関する研究についても,動物実験時の課題であった脳実質ひずみ分布をシミュレーションを用いて同定する方法を確立することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
頭部剛体運動と脳実質ひずみの関係に関する研究については,回転運動に影響を及ぼす頚部特性について留意し,頚部モデルの改善を図っていく.脳実質と脳の機能的損傷の関係の解明については,引き続き実験を実施し,標本数を確保するとともに,膜電位の新たな計測手法を取り入れることについても検討する予定である.
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Causes of Carryover |
精密頭部実体モデルの補修費を計上していたが,今年度はモデルの破壊がなく,その費用の計上が必要なくなったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
回転性脳損傷を解明するうえで頚部のモデリングが重要であると考えている.頚部モデルの構築のために使用する予定である.
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Research Products
(2 results)