2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26350501
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松浦 宏治 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (70443223)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | マウス受精卵 / マイクロ流路 / メカノバイオロジー / 三次元培養 / 人工卵管・子宮 |
Outline of Annual Research Achievements |
・マウス受精卵のメカニカルストレスに対する影響 過去に得られたマウス受精卵に流体移動に伴うせん断応力(Fluid Shear Stress: FSS)を負荷した際の実験結果に関するデータを受精卵の粘弾性に基づいて解析した。蛍光を示すピクセル数を細胞断面積とした場合、FSS負荷後のそのピクセル数の増加は単一の指数関数で近似可能であった。定常流の際にはFSSが一定と仮定して、この時定数はフォークトモデルを適用した際には粘性/弾性の比となり、時定数が小さいほど弾性応答への収束に時間を要すると言える。また、この指数関数の収束値は受精卵内細胞の弾性を示す。FSS=13.3 dyne/cm2の場合、桑実胚内の細胞よりも胚盤胞内の細胞でこの時定数が0.45倍に、収束値は0.90倍に低下し、胚盤胞の細胞は桑実胚の細胞よりも弾性率が高く、粘性の寄与が小さいと言える。また、両方の受精卵における透明体内の細胞の変形は流れの方向に依らず等方的であったために、FSSに伴う外力だけでなく、流れが生じた際に電解質の濃度が変化することによる浸透圧もこの細胞体積上昇に関与している可能性がある。従って、受精卵のステージによるFSSに対する応答に違いは細胞の構造に基づき、透明体の膜特性評価および受精卵内細胞のチャネル活性評価が今後、重要と思われる。
・培養システム開発に関する実績 昨年と同様に流路内の細胞へFSS負荷な三次元培養システムの構築を目指したマイクロ流路を含むシステム全体の最適化を図った。特に、顕微鏡上で受精卵を含む細胞を観察および評価が容易なシステム開発として、顕微鏡観察用ステージヒーター内に設置された観察部位内のシリコーンエラストマー製マイクロ流路に外部から流体刺激を負荷できる流路系の取り回しとマイクロ流路との接合を工夫した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の異動もあったことから、流路作製および培養システム構築に関する技術改善に注力し、実際の受精卵を用いた試験が想定以上に進まなかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究実績欄に記載した上記の仮説を検証するために、FSS負荷時に透明体内を小分子が通過することの証明(透明体の膜特性)および受精卵各ステージにおける構造、チャネル活性、粘弾性相関に関する解明を行う。二波長励起法を用いた細胞内カルシウム濃度などのイメージング法を適用する。また、子宮モデルを作製するための安定的な細胞取得を目指す。
|
Causes of Carryover |
最終年度(平成28年度)は研究経費が若干少ないために、前年度の使用額を減少した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度においては培養関連消耗品、実験補助者人件費、旅費を主に執行する計画である。
|