2015 Fiscal Year Research-status Report
伸展変形挙動のその場観察による細胞内力学場評価と細胞骨格リモデリングの動態解明
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26350503
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
佐藤 克也 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 講師 (10403651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 和幸 山口大学, 理工学研究科, 教授 (00229759)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | メカノバイオロジー / 細胞バイオメカニクス / アクチン細胞骨格 / アクチンリモデリング / 骨芽細胞 / ストレッチ刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,まず骨芽細胞内のアクチン細胞骨格を蛍光観察するための遺伝子導入による可視化を行った.本研究課題で使用する骨芽細胞様細胞MC3T3-E1は,遺伝子導入効率が低い細胞株であるため,適切な遺伝子発現量に調節するためプロトコルのパラメーターフィッティングを行った.その結果,トランジェントな発現系でアクチン細胞骨格の可視化に成功した. また,アクチン細胞骨格の可視化が,すべての細胞で行えるわけではなく一部の細胞が確率的に適切な量を発現する.したがって,その細胞を用いてストレッチ付与実験を行うためには,1ディッシュにビルトインされる細胞伸展マイクロデバイスの数が多いほど実験効率が上がる.そこで,これまでの細胞伸展マイクロデバイスの構造を根本的に見直し,集積度を向上させた新型のマイクロデバイスを開発した. これらの実験系の改良により,本年度はストレッチ刺激を受ける骨芽細胞のアクチン細胞骨格が,どのように変形するか.その詳細なタイムラプス画像の取得に成功した. 取得したタイムラプス画像データを元に,画像相関法を用いて細胞内のひずみ分布計測を試みた.画像処理ソフトウェアを用いて初期画像を均一に引き伸ばしたリファレンスデータを作成し,そのデータを用いて画像相関法による計測のパラメーターフィッティングを行った.その結果得られたパラメーター条件で,実際に取得したタイムラプス画像データのひずみ分布計測を行ったが,十分な精度を確保することは出来なかった.そこで,暫定的にマニュアルトラッキングにより細胞内アクチンファイバーの軸方向ひずみを計測した.その結果,細胞内の一部のアクチンファイバーには,細胞外基質に生じているひずみと一致しない不均一なひずみ分布が生じていることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,計画3年間のうちの2年目である.当初の計画通り,ストレッチ刺激を受ける骨芽細胞のアクチン細胞骨格変形動態を詳細にその場観察し,タイムラプス画像を取得することに成功した. これは,本研究課題における一つの重要なマイルストーンを達成したと言え,残り一年間で目標とする細胞内アクチン細胞骨格のひずみ分布を明らかにし,繰り返し伸展刺激によるアクチン細胞骨格リモデリングとの関連性について検討することは十分可能であると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,用いている骨芽細胞様細胞MC3T3-E1は,他の一般的に用いられている細胞株等と比較して,遺伝子導入効率が非常に低いと認識している.そこで,実験効率向上を目的として,実験に用いる細胞として,MC3T3-E1に加えて骨肉腫由来のU2-OS細胞を導入することを計画している.この細胞株は遺伝子発現効率が良好であり,かつ力学的刺激に対するアクチン細胞骨格リモデリングを検討する研究において,既に他研究グループによる論文発表もなされた実績のある細胞株である. 研究課題の最終年度であるため,これまで改良して構築してきた実験系も並列して用いながら,さらに効率的に実験データを蓄積し,計画当初の目標を達成する計画である.
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Causes of Carryover |
本年度の予算残額は実験に用いる消耗品を購入するために,年度末まで確保していたが,実験の実施状況が予想よりも少なかったため,消耗品を購入する必要が無く剰余金となった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額は実験に用いる消耗品を購入する程度の金額であり,次年度の実験遂行により当初の計画通り消耗品を購入するために充てられる.研究遂行の進捗に全く影響を及ぼさない.
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Research Products
(8 results)