2014 Fiscal Year Research-status Report
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26350511
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
比嘉 昌 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90375197)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ワイヤレス情報通信 / バイオメカニクス / 人工関節 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、この研究以前から行っていた人工関節の手術中関節反力計測を発展させ、「長期使用に耐えうる関節反力測定装置を設計・製作し、手術中に関節反力をワイヤレス計測すること」であった。主に肩関節を対象としているが、同じ球関節である股関節も対象とする。 3年計画のうち初年度(平成26年度)は、ワイヤレス化を一番の目標としていた。その理由は、以前までの研究で計測に成功していたとは言え、手術野をまたぐワイヤが感染の危険性を増加させること、ワイヤの存在自体が煩雑で操作に支障をきたすためである。滅菌可能で手術野に持ち込み可能、手術の邪魔にならない小型なサイズ、生体内外の情報通信が可能なワイヤレス装置と言うことで要求は多いが、新たに情報通信機器を開発するのではなく、既存の技術を如何に改良して組み合わせて製作するかと言う流れで研究を行った。 まずは既存の技術の調査から始めた。使用可能な周波数には法的制限もあり、2.4GHz帯が最も使いやすい事、多少の障害物(生体組織)は透過することにより採用を決めた。この周波数の前後は携帯電話会社が使用しており、個人的な使用許可取得が困難と考えられる。 実験室レベルでは無線でデータ通信の確認は行えた。バッテリーには小型の携帯電池が使用可能であり、ある程度の小型化にも成功した。ここまでの成果を日本国内での学会で発表し、次につながるいくつかのコメントも頂いた。しかし、現時点の自作機器ではシグナルーノイズ比が悪いこと、実際の手術では用いていないので本当に測定可能かはまだ確認出来ていないと言った課題も残っている。科研費の使用用途としては、ワイヤレス用の電子機器購入、調査のための学会参加が中心となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は生体医工学が専門であるが、無線のデータ通信技術に関して知識が乏しかったため、予想外に様々な周辺知識の習得から行う必要があった。特に関連法規の遵守は大切であり、習得に期間を要した。そのため当初の予定通りの研究開始とは行かなかったが、その後の成果は順調であった。実験室レベルでの無線化が成功した時点で、最終目的に向けては順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定では、本年度中に開発した装置を手術室に持ち込んで実際の計測することを計画している。現時点で実験室レベルでの計測は確認出来ているが、生体内における(手術中)計測に使用するにはもう少し改良が必要である。例えば電源の小型化、滅菌可否の確認等である。それらの課題をクリアして、目標通り本年度中に一度は人工関節の手術中に計測することを目指す。
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Causes of Carryover |
昨年度の予定では、手術室に持ち込める機器の完成までを予定していたため、初年度の予算を多めに取っていた。しかし、そこまでには至らなかったため予算が残った。電子機器の自作に必要な素子自体は単体では安価であり、物品に予算を必要としなかった。また予定していた国際学会一つはRejectされた。 研究自体は概ね順調に進んでいるが、多少の研究の遅れと国際学会に参加出来なかったことが予算が残ってしまった要因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降は、昨年度行えなかった作成機器の手術室への持ち込みを予定している。これには装置の小型化、滅菌の可否確認、滅菌実行など全てが自分で出来るわけでは無く外注する部分が多くなる。そこに当初の2年目の予定より多額の予算が必要と考えられる。また学会発表に関しても国際学会での発表は行いたいため、1年目のRejectを払拭すべく複数のacceptを目指し複数の学会に応募することを予定している。
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Research Products
(4 results)