2014 Fiscal Year Research-status Report
アフェレシス療法でのcirculating microRNA除去と治療応用の研究
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26350514
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
草生 真規雄 順天堂大学, 医学部, 助教 (80534916)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アフェレシス / circulatin microRNA / 血漿交換療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年発見され、核酸創薬のターゲットとしても注目されるcirculating microRNAは、細胞間相互作用を介し、自己免疫疾患等の慢性炎症病態の一因となり得る。本研究では、膜分離型アフェレシス療法がcirculating microRNAを選択的、効率的に除去可能であり、さらに改善を加えることで慢性炎症性疾患等の病態改善に資する手段の一つとなり得ることを示すことを目的としている。 アフェレシス療法とは体外循環によって全血液から自己抗体や炎症性サイトカインなどの液性因子や活性化された血球細胞などの病因物質、代謝物質、中毒性物質などを直接除去する治療法を指す。免疫能の修飾、賦活、細胞機能の回復など病態の改善効果を得ることができる、副作用の少ない補助療法として特に難治性疾患に対して有用な医療技術である。今回、アフェレシス療法の中でも単純血漿交換療法で加療をされている血栓性微小血管症の患者と、二重膜濾過法を用いて加療を受けている全身性エリテマトーデスの患者を対象とし、治療膜前後で全血液、血漿を採取しmicroRNAアレイチップを用いて網羅的に発現解析を行った。その結果、血漿分離膜により分離された血漿中にcirculating microRNAの存在を証明し、治療膜前後でその発現プロファイルが異なることを示し得た。治療膜の種類を変更することで、より選択的にcirculating microRNAの効率的な除去、修飾が行える可能性があり、今後も研究を継続する。 今後の研究の成果によっては、本邦が中心である膜分離型アフェレシス療法を、これまでに無い新しい機序を持つ病因除去治療法として世界に医療技術を発信できる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、平成26年度中にアフェレシス療法を施行した患者のうち同意を得られた症例について、治療膜前後でのサンプル採取を行いcirculating microRNAを分離抽出した後、マイクロアレイを用いてその発現解析を行った。 circulating microRNAがアフェレシスにより全血液から除去しうること、またその発現プロファイルが治療膜前後で変化しうることを基礎データとして示すことが出来た。 来年度以降のさらなる研究計画推進につながるものであり、計画はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
アフェレシス治療種には、今回の研究対象とした単純血漿交換療法、二重膜濾過法の他にも、吸着剤やリガンドで標的物質のみを除去する免疫吸着療法、血球細胞を直接除去する血球成分除去療法がある。前年度に得られた結果をもとに、これら各種アフェレシス治療種によってcirculating microRNAの除去性能が異なるのか、また更に効率的、選択的な病因microRNAの除去が可能なのかどうかを明らかにする事を研究の推進方策とする。 前年同様アフェレシス施行患者よりサンプル採取を行い、microRNAアレイチップを用いた網羅的な発現解析を行う。本研究により示された結果は国内外学術誌への論文投稿や学術大会発表などの形で公表する。
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Causes of Carryover |
研究対象として急性期病態の患者も想定しているが、アフェレシス治療を要する急性期患者がいつ現れるのか、同意を得てサンプル採取が可能となる時期がいつになるのかを予想することが困難であった。現在はサンプルを採取し検体の集積が進んでいるが、一部の対象患者サンプルについては平成26年度中にマイクロアレイを用いて研究を進めることができなかったことが、次年度使用額が生じた理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在集積されているサンプルを用いて、平成26年度に行った研究と同様、マイクロアレイを用いたcirculating microRNAの解析を行う。また、新たに他治療膜種で治療を行った患者についてもサンプル採取と解析を進めていくため、ここで生じた次年度使用額分については平成27年度に使用する予定である。
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