2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26350517
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
関根 秀一 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60541737)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 組織モデル / 心筋細胞 / 細胞シート / 血管網付与 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の再生医療研究や創薬研究において培養細胞を用いたin vitroでの解析が行われているが、ヒトの生体内3次元環境とは大きくかけ離れており組織・臓器レベルでの解析は困難である。申請者はこれまでに細胞シート工学を基盤とし生体外で再生組織内へ血管網を付与するための技術開発に成功し、生体同様に潅流可能な3次元組織の再構築を可能としてきた。本研究課題では生体外血管網付与技術を用いたヒト3次元心筋組織モデルの作製を目的としている。今年度はまず作製組織の薬物反応を代謝の観点から解析するためにルシフェレーストランスジェニックラットの心筋細胞を用い実験を行った。血管床はラット大腿動静脈を含む筋組織を成形し1週間生体内へ留置することにより毛細血管の動静脈短絡を誘導させin vitroにおいて灌流液が動脈から組織、さらに静脈へ戻るような組織を作製した。3層のラット血管内皮-心筋共培養細胞シートを血管床上へ積層化し組織灌流を行うことで3日後には心筋組織内の毛細血管と血管床の毛細血管との間に血管を介した繋がりができることを確認した。また細胞シートの段階的積層を行うことで、より厚みのある心筋組織を再構築した。この組織に対し動脈を介したイソプロテレノールの投与を行ったところ心筋細胞拍動数の上昇および血圧の低下、さらには再生心筋組織のATP活性の上昇を確認することができた。本研究において作製した血管付立体組織はより生体に近い創薬モデルとなり得ることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitroにおけるヒト心筋組織モデルの作製には、まず心筋細胞と血管となり得る細胞をソースとし細胞シートを作製し血管床を用いて血管網を付与した心筋組織を作製する必要があるが、今年度では組織の作製法ならびに解析手法について確立できた。一方で血管床上へ積層化するヒト心筋細胞シートに関してはヒトiPS心筋細胞とヒト血管内皮細胞との共培養条件の最適化検討にとどまっているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度からはヒト血管内皮-心筋細胞シートを用い血管付き心筋組織の作製を進める。また心筋障害モデルを作製しその組織を用いた薬理試験と再生治療効果の解析を行う。作製心筋組織モデルへの薬理試験や再生治療効果の検討にはバイオイメージング解析や電気生理学的解析が重要となるため、前年度で得た知見を元に必要な解析手法を選択し必要に応じて改良を行い進める。
|
Causes of Carryover |
初年度はラット細胞のみで研究を進めたためヒト心筋組織作製にかかるiPS細胞などの培養試薬や解析に用いる試薬類を使用しなかったことで次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降のヒト心筋組織の作製ならびに組織モデルとしての有効性を解析する目的を達成するためにヒトiPS細胞の培養にかかる試薬や蛍光・発光イメージング装置の解析試薬の購入に充てる。
|