2017 Fiscal Year Research-status Report
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26350522
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Research Institution | Osaka Yukioka College of Health Science |
Principal Investigator |
森友 寿夫 大阪行岡医療大学, 医療学部, 教授 (00332742)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | バイオメカニクス / 3次元動作解析 / TFCC損傷 / 舟状骨偽関節 / バーチャルリアリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は多肢位CT、MRIから軟部組織を含んだ3次元関節モデルの関節運動動画を作成する画像解析プログラムの開発し四肢関節の複雑な病的な動態を解明することである。平成29年度にはこの画像解析プログラムに関連した2編の英文論文を発表した。文献1.舟状骨偽関節を放置すると変形性手関節症が発生することは知られているが、骨折線の位置と骨棘の位置の関係を3次元的に解析した報告はこれまでなかった。画像解析プログラムを用いて、骨棘の位置、大きさを定量的に計測した結果、骨折線の位置と骨棘には有意な相関があった。今後、自然経過の類推、骨棘切除などの際、有用な情報となる。文献2.橈骨遠位端関節内骨折変形治癒に対する矯正骨切り術における画像解析プログラムの有用性を報告した。段差のある関節内骨折を放置すると変形治癒となり、関節の運動障害、疼痛、軟骨損傷を引き起こすため、関節内矯正骨切り術が必要となる。しかし、手関節は狭く、段差の部分にうまく骨切りできないことが多い。そこで画像解析プログラムを用いて、至適な骨切りのシミュレーションを行って、関節外からノミを入れて関節内の段差の部分にノミの刃先が来るよう特性のジグを作成した。その手法により正確な骨切が可能となり、臨床成績もよかった。 また、軟部組織に関しては、三角線維軟骨複合体(TFCC)などの軟部組織の形態を評価するために造影剤を関節内に注入しCTを撮影し、TFCCの輪郭を抽出する技術を確立してきた。またTFCC損傷症例の造影データと術中所見を比較し、TFCC損傷の病態を解明してきた。しかしこれらはまだ発展途上であり、今後さらなる研究が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多肢位CT、MRIから軟部組織を含んだ3次元関節モデルの関節運動動画を作成する画像解析プログラムの開発は順調に進み、臨床応用もできるようになってきた。TFCC損傷症例では関節造影とCTを組み合わせることによりTFCCの形態を3次元的に描出できるようになった。これにより術前に病態の正確な評価が可能となった。また、キネマティクスに関しては、これまで関節の動きを計測するにはX線画像に定規をあて線を引き、その角度を計測するという原始的な手法で行われてきた。したがって、検者間誤差、再現性などが問題になってきた。本画像解析プログラムでは、これまで、検者が2次元画像から想像するしか方法がなかった人体の関節の動きを、骨、軟骨、靭帯モデルの3次元画像の動画として観察、定量化できる技術を提供しうる点である。3次元的に関節運動を見ることにより医療者はこれまでの何倍もの情報を得ることができ、病態の解明、手術方法の選択など臨床に反映された。さらに厳密な定量的データを機械的に算出するために、再現性に優れた動作解析が可能となる。その結果、学会発表、論文発表も国内、海外で複数回行っており、それぞれ良い評価を受けている。3台のコンピューターを用いて複雑な関節運動の3次元解析を行っているがまだ人間の手による作業が多く、解析に多大な時間を要するのが難点である。より簡便になるよう改良が必要である。機材、人員もまだ不足しておりさらなる資金の投入が必要である。今後、症例解析を積み重ねるとともに、機材、人員を増やし、より良い研究環境を作る必要がある。また大学教員・学生を教育し、大学としての実力、研究実績を上げていく。
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Strategy for Future Research Activity |
TFCCなどの軟部組織の形態を評価するために造影剤を関節内に注入しCTを撮影し、TFCCの輪郭を抽出する技術を確立していく。またTFCC損傷症例の造影データと術中所見を比較し、TFCC損傷の病態を解明していく。擬似関節鏡ツールを作成し、コンピューター画面上で関節鏡を関節内に刺入し関節鏡のカメラの視点でみた関節内画像を作成する。視点は関節内を自由に動かすことができるようにする。また実際の手術の際の関節鏡所見と比較し細かい病変が確認できるか検証する。病的なキネマティクスの解析として、人工的に靭帯や軟骨を損傷させた新鮮屍体標本に骨内3次元センサーを装着しCTを撮影しセンサーと骨モデルの相対的位置関係を登録する。他動的に関節を動かしキネマティクスデータを得る。センサーのデータを3次元骨モデルに当てはめ3次元動画を作成する。荷重下や靭帯切離後など靭帯損傷モデルを作成し病的なキネマティクスを解析する。さらにこれらのデータを生体データと比較検討する。上記の開発を進めるとともに、研究期間を通じて患者の術前、術後に撮影したCTまたはMRIデータを解析し、病態の解明、新しい治療法を開発する。
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Research Products
(5 results)