2015 Fiscal Year Research-status Report
動脈硬化を診断・予知するための近赤外レーザ血管血流画像情報計測技術の臨床応用
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26350523
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
八賀 正司 富山高等専門学校, 商船学科, 教授 (80123305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺西 恒宣 富山高等専門学校, 機械システム工学科, 教授 (20141880)
安東 嗣修 富山大学, 医学薬学研究部(薬学), 准教授 (50333498)
清水 忠道 富山大学, 医学薬学研究部(医学), 教授 (70260396)
高田 洋吾 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70295682)
石田 弘樹 岡山理科大学, 理学部, 准教授 (50413761)
秋口 俊輔 富山高等専門学校, 電子情報工学科, 准教授 (50462130)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 血管血流分布画像 / in-vivo計測 / イメージング / 診断技術 / 血流関連疾患 / 流速分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
血管内の血流速度分布を計測できる高時空間分解能2次元面計測LDV(CS-MLDV)その場観察システムの開発を行った。狭窄のある人工流路にマウス血液を流入させCS-MLDVによる血流速分布計測を行った。ドップラー信号のスペクトラムの重心を求めることで、その周波数をドップラー信号とし、流速値の推定を行った。ここで得られた血流速はGTTコードによる血流シミュレーションとよく一致する結果が得られた。引き続き、麻酔下のマウスにおける腸間膜のin-vivo血流計測を行った。血流速の時間変化から使用したマウスの拍動は約300 bpmであること、1.0秒で平均した血流速のイメージングの結果からの血流量は0.90 ml/minとなり、超音波による血流量計測を実施した他文献とよく一致する結果が得られた。 1点計測LDV法を基板技術として、多点同時2次元面計測手法へと展開させたCS-MLDV法を提案し、(1)マイクロ流路内の2次元の流速分布の計測ができる、(2)数値計算との比較により本計測手法が非定常の流速分布の計測に適している、(3)実際に麻酔下のマウスを対象に、腸間膜血管内のin-vivo計測を行い、血流速分布のイメージングが可能であることを示す結果を得た。 MLDVによる血流関連疾患の診断技術への展開について取り組んだ。乳癌を植え付けたマウスのin-vivo測定により乳癌移植前、移植後1日目、3日目、6日目の写真と乳癌まわりの血流画像を示し、乳癌部位の異常流速分布の検出とその血流場の考察を行った。 申請前には、健常マウス頸動脈の2次元血流速分布画像と血流速の時間変化の1例を示していた。本研究では、具体的に健常マウスのマウス頸動脈の2次元血流速分布画像と血流速の時間変化からマウス拍動の時間変化の計測とその有効性の確認、ならびに血流関連疾患の検出に有望な手法であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動脈硬化症の早期診断及び心筋梗塞を予知するため、独自に開発してきた近赤外レーザー光による完全非侵襲in vivo血管血流画像化装置による血管情報【狭窄、閉塞、拡張、拍動に合わせた血管径の時間変化(膨張⇔収縮)】と血流情報の同時取得【血管内の血流速度分布の2D画像及び時間変化、動脈の血流量と拍動血流の時間変化】、ならびに血管血流の画像情報計測技術を臨床応用へと展開するための研究基盤を確立する。 in-vitro 及び in-vivo の両計測に使用できる2次元面計測LDV(CS-MLDV)を開発した。マイクロ流れの新たなin-vivo計測ツールとして、時空間分解能が良く、5秒以上の時間変動計測が可能なxy空間の時間変化を取得できるCS-MLDVの開発・改良を行った。 狭窄のある流路モデル内に脈動流を供試した流速計測において、作動流体をポリエチレン粒子と蒸留水、蒸留水と血液とした場合のドップラー信号のスペクトラムを比較する ことで本システムの流速を求める解析のアルゴリズム等についての検討を行った。CFD解析を行い、CS-MLDVの実験結果と比較検討し、狭窄部のある矩形流路内脈動を対象とした解析、狭窄部のある矩形流路内脈動を対象とした流れ場の情報(狭窄部の瞬時血流速度分布、粘度、脈動)の違いを調べた。これら結果から血管・血流のイメージングとして機能することが確認できたので実際にマウス腸間膜血管の血流イメージングを実施した。その結果、血管形状を認識し、かつ血管径と血流速に基づく血流量の導出を行うことで正常な血流状態であることが直感的に得られる画像を得た。 乳癌移植マウスの癌腫瘍まわりの血流異常を線計測μ-MLDVにより検出する動物実験の結果から、癌の成長により新生血管が形成されること、腫瘍に養分を供給するために血流量が増加する様相を腫瘍撮影画像と比較し、考察を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)血管内の狭窄部の後流では渦が生じている。渦のスケールは最大でも狭窄部の大きさ程度と考えられる。また、渦の大きさや周期は流体の粘度にも依存すると考えられる。現有の生体計測用の線計測μMLDV装置を、逆流を検知可能にするため、送光系にブラッグセル(AOM)を導入し、光信号処理を行うハードウエア、信号処理ソフトウエアもブラッグセルを導入するためにシステムの改良を行う。 (2) 狭窄部(突起物)の有るマイクロ流路内に容積ポンプによる脈動流を供した脈動流速計測実験を行う。ポンプの回転数を変えながら脈動周波数と脈動振幅その時間変動、流速分布を測定し、計測結果の妥当性を検証する。作動流体に水と動物血液を用い流量又は作動流体を変えることにより、粘性の影響を考慮した突起物まわりの脈動流れ場を順流と逆流の挙動にも注目して詳細に考察する。 (3)マウス乳癌モデルを使った血流異常・血流障害をin-vivoで検出するための実験を行う。現有の線計測μ-MLDV装置を使って健常マウスと乳癌モデルマウスのin-vivo 計測によるレーザー血管血流情報の3次元計測を実施し乳癌の成長により形成される新生血管や腫瘍に養分を供給するために血流量の変化する様相を腫瘍撮影画像と乳癌部位の血流障害や血流異常を伴う血管血流情報の3次元血流場について考察する。 (4)我々が開発してきたMLDVは、生体外からレーザー光を照射することで皮膚下部の血管・血流情報を取得し、完全非侵襲を実現する。つまり、測定領域は生体内部に形成されることになる。より高精度な計測機器へ展開するために、皮膚の構造がレーザー光計測領域に及ぼす影響を定量的に評価する。 上記(1)~(4)を着実に進めることで、血管瘤と血液の性状の観点からの溶血、動脈硬化、血管破裂メカニズムの解明への一助とする手法を確立する。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況により、旅費と電子部品、光学部品の支出が少なくなった
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の使用計画通りに実施する。今年度の繰り越し分は、光学系の改良部分と動物実験に必要な物品に使用する
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Research Products
(6 results)