2015 Fiscal Year Research-status Report
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26350526
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
金子 大作 九州工業大学, 若手研究者フロンティア研究アカデミー, 准教授 (90467126)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バイオ接着剤 / 分解性の制御 / 細胞毒性試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き,シナモンから抽出可能な3,4-Dihydroxyhydrocinnnamic acidおよび3-(3-Hydroxyphenyl)propionic acidを共重合したバイオ接着剤へ長期水中安定性の付与を行った。以下昨年度までに達成した事を記す。 【1】バイオ接着剤にラウリン酸を5%導入に成功し高い水中安定性を示した。 【2】アミノ基を極性基として導入し,安全性の高いエタノール溶媒型接着剤を創製した。 【3】in vitroの細胞毒性試験で良好な結果を得た。 本年度は,【1】耐水性の強化を詳細に調べた。具体的には20%程度残っているアセチル残基にカルボキシル基を持つ天然の飽和脂肪族鎖をエステル交換反応させた。デカン酸やラウリン酸は最大20%導入できたが,ステアリン酸の導入は確認できなかった。これは長い脂肪族鎖が反応官能基のカルボン酸を包み込んでしまうと考えられる。また,未反応の飽和脂肪族鎖や触媒を除去する精製方法も確立できた。これにより,化学的に安定なバイオ接着剤を得る事ができた。得られた長期水中安定性のバイオ接着剤の疎水性の変化は,バイオ接着剤を薄膜状にし,その上に5ulの水滴を垂らして接触角を測定する事で簡便に調べる事ができた。結果,0-20%導入できた範囲に於いて,線形的に接触角が増加してゆく事が分かった。また,ラットの骨芽細胞において,バイオ接着剤上でも細胞が増殖する程,生体親和性が高い事が明らかとなった。コントロールとして使用した医療用アロンアルファは48時間後に全ての細胞が死滅するのを確認した。この結果より,次世代の医療用接着剤として非常に注目される事となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で示した結果の他,前倒しで生体ラットにも適用する実験も行っている。更に,短期間で分解するバイオ接着剤の研究も併せて行うに至っている。これらは医療現場からの要請を素早く取り入れる事ができている事を意味し,非常に価値の高い技術だと考えているからである。
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Strategy for Future Research Activity |
様々な分解速度を持つバイオ接着剤を創製してゆく。これらを用いて系統的に生体ラット骨折モデルを評価してゆく。
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Causes of Carryover |
招待講演が多く,当初計画していた旅費を使用しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度は主にマンパワーを充実させて(人件費へ)プロジェクトを一層すすめてゆく。
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