2014 Fiscal Year Research-status Report
ポリカチオン荷電性ポリマーを用いない多機能型核酸内包ポリプレックスの開発
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26350532
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
石原 務 日本大学, 工学部, 教授 (70349554)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / DDS / 遺伝子治療 / siRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
新しいタイプの核酸内包ポリプレックス(ナノ粒子)を開発することを最終目標とし、平成26年度は、ポリマー合成及びナノ粒子調製法の確立を行った。また、核酸の保持安定評価と細胞への取り込み試験も行った。 基材となるポリマーとしては生分解性のポリ乳酸を用いた。このカルボキシル基末端にエチレンジアミンあるいはスペルミンを縮合させることで末端にアミノ基を有するポリ乳酸を合成することに成功した。このポリ乳酸とポリエチレングリコール-ポリ乳酸ブロックポリマー、DNAをDMSOに溶解し所定時間放置後水に添加することでDNA内包ナノ粒子を作製した。様々な調製条件を変えDNA封入率と粒子径を評価したところ、DMSO量が多いほど粒子径が小さくなること、そしてDMSO溶液の放置時間が長いほど封入率が高まることがわかった。これは、DMSO中でポリ乳酸とDNAが静電相互作用により徐々に安定な複合体を形成するためと考えられた。DMSO溶液の添加速度を変えると、急添加で調製したナノ粒子より徐添加で調製したナノ粒子が粒子径は大きくなった。以上より、最大の封入率がえられかつ粒子径が100nm程度になる調製条件を見いだした。 次にDNAの担持安定性を評価したところ、従来のポリプレックスではポリアニオンの添加により容易にDNAがポリプレックスから遊離したのに対し、このナノ粒子では遊離はみられなかった。さらに、ウシ胎児血清中においても酵素分解が回避されたことから遥かに強い核酸担持安定性を有することが明らかになった。 また、ポリエチレングリコールで表面修飾していない蛍光ラベルオリゴDNA内包ナノ粒子の調製にも成功し、このナノ粒子が貪食細胞であるRAW264.7細胞に顕著に取りこまれることがわかった。さらに細胞内でこのナノ粒子は安定にオリゴDNAを保持していること、そしてオリゴDNAが細胞内で徐放出されていることもわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
末端にアミノ基を有する生分解性ポリマーの合成及びナノ粒子の調製法の確立はスムーズに進行し目標を達成できた。また、当初の計画では平成27年度の実施予定であった細胞への取りこみ試験を本年度に実施できた。一方本年度実施予定であった放出挙動の解析は予備試験まで終了しているので今後直ちに進める予定である。以上より、本年度はおおむね順調に進行できたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
従来の研究計画通り、調製法を確立した核酸内包ナノ粒子の高機能化及び細胞内に取り込まれた核酸(siRNA)の活性をin vitroで評価する。
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Causes of Carryover |
おおむね計画どおりに使用できたが、最終的にわずかに残額が残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初計画案どおりに使用していく。
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Research Products
(5 results)