2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of multifunctional polyplexes without polycations
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26350532
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
石原 務 日本大学, 工学部, 教授 (70349554)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 薬物送達システム / 核酸デリバリー / ナノ粒子 / ポリ乳酸 / siRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝子治療への応用を目指し、ポリカチオンを用いずにsiRNAなどの核酸を安定に内包できるポリプレックス(ナノ粒子)の開発をおこなってきた。ナノ粒子は、末端に一つのアミノ基を導入したポリ乳酸と核酸をDMSOに溶解し水中に滴下するO/W型溶媒拡散法により調製した。様々の条件を変えたところ、核酸はポリ乳酸との静電相互作用により内包されていることがわかった。また、粒子径が100nm程度で核酸の封入率が最大となる調製条件を見いだした。 核酸の担持安定性を評価したところ、ポリカチオンを用いた従来のポリプレックスではポリアニオンを添加すると容易に核酸が遊離したのに対し、このナノ粒子では遊離しなかった。さらに、血清中でも核酸が酵素分解されなかったことから強い核酸担持安定性を有することがわかった。37℃生理食塩水中で核酸の放出挙動を解析したところ、従来のポリプレックスでは核酸の放出は認められなかったのに対し、このナノ粒子では約30日にわたり徐放出された。 蛍光ラベル核酸を内包したナノ粒子は、U937細胞やRAW264.7細胞に顕著に取り込まれた。核酸の細胞内滞留性をリポフェクタミン3000と比較すると、ナノ粒子の方が長時間細胞内に残留していることがわかった。また、従来のポリプレックスでは濃度依存的に強い細胞毒性がみられたのに対し、このナノ粒子ではみられなかった。細胞内小器官との共染色試験から、ナノ粒子はリソソームに局在し、そのリソソーム内pHが極端に酸性化していたことから、この変化に応答する分子を用いることでエンドソーム脱出が誘導できることが示唆された。TNF-αに対するsiRNAを封入したナノ粒子を作製し、培養細胞でTNF-αの発現抑制を評価したところ有意に抑制効果を示した。よって、このナノ粒子は遺伝子発現抑制効果があることが明らかになり、今後遺伝子治療への応用が期待できる。
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Research Products
(5 results)