2015 Fiscal Year Research-status Report
革新的ハイブリッド人工肺サーファクタントの標的ナノ創薬の展開
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26350534
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Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
柴田 攻 長崎国際大学, 薬学部, 教授 (10117129)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 表面・界面物性 / 肺サーファクタント / ナノ医薬品 / インテリジェント・ナノ材 料 / Langmuir単分子膜 / ナノ機能材料 / 呼吸窮迫症候群(RDS) / 偏光変調赤外反射吸収法(PM -IRRAS) |
Outline of Annual Research Achievements |
人工調製型肺サーファクタント(LS)脂質の基本成分はDPPC(ジパルミトイルホスファチシルコリン)、PG(ホスファチジルグリセロール) 、PA(ハルミチン酸)等があります。我々の研究より鎖長の短いフッ素化合物は、人工合成型のLS調製物の有効な添加剤で有る事が明らかと成りました。本研究では、親水部のない部分フッ素化アルカン(F10H16, F10H20)及びそのダイマー[di(F10H16), di(F10H20)]と生体膜モデルであるジパルミトイルフォスファチジルコリン(DPPC)との二成分相互作用及びその界面挙動をLangmuir単分子膜により精査した。 全ての部分フッ素アルカンは典型的なordered膜を形成した。F10H16及び F10H20の極限面積は、共に0.35 nm2であり、炭化フッ素鎖の分子断面積を反映している。一方、di(F10H16)及びdi(F10H20)の極限面積は0.65 nm2であり、ダイマーにすることで膜の凝集性が向上した。二成分DPPC/部分フッ素化アルカン系の表面圧(π)-面積(A)曲線の測定において、全ての系においてDPPCのLE/LC相転移圧から膜の崩壊圧の間に、組成に依存した屈曲点が現れた。この屈曲点は、部分フッ素化アルカンからなる表面ミセルの形成に起因すると考えられる。またこのミセルは、分子占有面積を考慮に入れるとDPPC単分子膜上に形成される可能性が高い。さらにこの表面ミセル形成は、蛍光顕微鏡画像によっても裏付けされた。現在表面電位の挙動から特異な表面ミセル形成を考えている。 LS系で添加物としてフッ素化合物の役割が明らかになったことから、本研究成果は人工調製肺サーファクタントの開発研究に大きく貢献できると考えられます。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究により我々が考案して人工肺サーファクタントの詳細な薬効・メカニズムが明確と成った。実際の市場化に向けては多くの問題があるが、本研究の目的は達成されたと判断出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 既存薬Surfactenの薬効を凌駕する様な有効な添加物(部分フッ化化合物)を探索する。 2) 模倣ペプチドの二次構造と肺サーファクタント物性の関連性を明らかにする。 次年度の研究費の使用計画及び昨年度の成果の追加実験、新規ペプチド、新規フッ素化合物の合成、二次元物性実験に取り組む。それらの成果を論文に纏めまた国際会議にて発表を行なう。
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