2015 Fiscal Year Research-status Report
ハイパースペクトラルイメージング技術による多癌種診断システムの実用化とその応用
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26350547
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
永岡 隆 近畿大学, 生物理工学部, 講師 (00367054)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ハイパースペクトラルイメージング / メラノーマ / 診断装置 / 化粧品 / 感性評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はハイパースペクトラルイメージング技術の臨床での実用化に向けた検討として、特に小型化のための検討を実施した。ハイパースペクトラルイメージャーは原理的にシステムが大型化する特性があり、システム全体のコストが高くなる傾向がある。そこで、機能を一部制限することで、大幅な小型化とコストダウンが実現することが分かった。具体的にはスキャン機構とオートフォーカス機構を廃し、空間情報を一次元に制約する。空間的な広がりが知りたい場合は、操作者が装置自体を移動させることでその情報を得ることができる。本年度はその基礎的検討として、従来装置で得られたハイパースペクトラルデータを疑似的に一次元化することで、メラノーマの鑑別能力がどの程度悪化するかを検討した。一次元化のための仮定として、操作者は最も色の多様性が高い部分を狙って計測するとした。その結果、空間情報を一次元に縮約しても、メラノーマ鑑別能力はほとんど変化しないことが判明した。この成果をもとに、来年度以降、より小型で低コストなシステムの試作に取り掛かる予定である。また、本システムの応用として、化粧品の評価システムの構築に向けた検討を推進。基礎的実験から、化粧品使用者の嗜好と相関の高い指標が取れうる可能性が高いことが判明したことから、来年度以降より大規模な実験を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度、研究機関を移動したことから、新たな共同研究先の模索などが必要となったが、これまでの共同研究先から十分な試料が得られたことから、大きな問題とはならなかった。メラノーマの患者データは十分なペースで集積しており、今後は実用化に向けたステップに移ることとなろう。化粧品の感性評価とハイパースペクトラルイメージャーの相関に関する研究においては、まだ準備段階ではあるが、基礎的検討から有用である可能性が十分に得られており、研究はおおむね順調に進展していると評価できよう。
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Strategy for Future Research Activity |
メラノーマ診断に関しては、今後実用化に向けた小型化を推進するとともに、鑑別指標の性能向上を図る。特に微小な早期メラノーマの高感度検出に向けた検討を進める。小型ハイパースペクトラルイメージャーに関しては、来年度中の試作を検討している。完成後は検証実験の後、臨床研究機関等に設置を依頼し、実際の使い勝手を確認していただく予定である。化粧品評価に関しては大規模実験を実施し、指標値と感性評価の相関性を検証する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は主に外部共同研究機関との打ち合わせ出張が多く、予算としても十分に積算していたが、想定以上に出張が増えたため、消耗品等の購入を抑制した結果、20万円程度の残額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度は装置の試作を検討していることから、当初予算より費用の支出が増額することを予想しており、これに今年度節約できた分を充てる。
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