2015 Fiscal Year Research-status Report
低出力レーザーおよびLEDによる心拍の光制御に関する基礎的研究
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26350548
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
木暮 信一 創価大学, 理工学部, 教授 (10133448)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 心電図 / 心臓の自動性 / 低出力レーザー / LED / ATP消費 / ATP産生 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の研究テーマ:アフリカツメガエルの心臓の自動性に対するLED効果の解明 【電気生理学的研究-心電図(ECG)の観測】アフリカツメガエルを48匹使用した。低温下で脳・脊髄破壊を行い、背位にして心臓を露出し、心室の両端から90分間ECGを記録した。最初の心拍を100%として、10分後との心拍を基準化し、その減少変化を指数関数で近似した。非照射群(n=8)では30、60,90分後に73%、63%、55%と減少した。緑LED(532±5nm)照射群(n=8)では98%、94%、92%とその減少率は低く、赤LED(625±5nm)照射群(n=8)でも89%、83%、71%とその減少率は非照射郡に比べて低かった。この場合、緑と赤の照度を5000Luxに統一して行なったが、パワーはそれぞれ1.3mWと4.5mWであった。パワーが低いにもかかわらず、緑LED照射群の自動性維持効果が強かったので、自動性維持に関しては波長依存性があるのではないかと示唆された。 【免疫組織学的研究-ATP含量の生化学的定量】上記の90分ECGを記録した後、心臓を取り出して凍結させた。ATP測定にはキット(東洋インキ)を用いて、ATP発行量をルミノメータで測定した。一方、分注した試料を用いてBCAアッセイキット(Thermo)でタンパク量を検出し、タンパク質量当りのATP量を算出した。非照射群(n=6)のATP/タンパク質量は3089±1277であった。緑LED照射群(5000Lux:n=8)では62±22と減少し、赤LED照射群(5000Lux:n=8)でも1672±632と減少した。 ●以上の結果から、緑LEDおよび赤LED照射はカエル心臓の自動性を維持する効果をもち、それはATPの効率的な消費に基づいているのではないかと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・カエル心臓の自動性に対して、低出力レーザー照射(LLI)効果と類似の効果がLED照射によっても得られた。すなわち、532nm LLIを心室部に照射した場合の効果が緑LED照射効果にほぼ相当し、同様な808nm LLIが赤LED照射効果にほぼ相当した。 ・概要では3000Luxや8000Luxの場合について述べてないが、照度依存性やパワー依存性を最終年度で明らかにできる目途がついた。 ・ATP含有量の測定法が確立したので、生化学的分析に関してはパラメータを変えた場合の例数を加えれば、ATP消費および産生の割合が解明できるのではないかと考えられる。 ・ECGの波形解析に関しては遅れているが、データはPC内にあるので時間をかけて解析する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
【平成27年度までの課題に対する補足実験】 ・ECG記録およびATP測定に関する実験系および測定系が確立したので、照射パワーを変数として波長ごとに5段階で変化させ、自動性への影響とATP含有量への影響を検討する。ATP含有量については実験開始後30分、60分において凍結させたものについて測定する。 ・ATP産生および消費に対する影響を区別するために、乳酸量およびADP量についても検討する。 【平成28年度の課題遂行】 ・研究テーマである「ヒト心房細動性不整脈へのクラスターLED照射効果の解明」に関して、申請者が被験者となって実験を行う。週3回、1時間の緑LED照射を6ヶ月間続ける。2ヵ月後との定期検診でECG測定を行い、ペースメーカー部の活動を示すP波への影響を中心に、波形解析する。
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Causes of Carryover |
・特注の「クラスターLED」および「LEDコントローラー」の価格が見積以下であったが、装置の効果を解明することに集中し、台数を増やして効率的に検討する時間がなかった。 ・さまざまにパラメータを変化させて実験数を増加させれば、ATP量測定のための試薬代が増えたと推測される。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
・実験系および生化学的分析法が確立したので、波長依存性・照射パワー依存性・照射時間依存性を明らかにするために次年度の実験回数はかなり増加する予定である。 ・「クラスターLED」および「LEDコントローラー」を追加発注して、2セットで実験を行えるようにして、データ収集の効率化を図ることに利用する。生化学的分析のための試薬キットなども同様である。
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