2015 Fiscal Year Research-status Report
熱・圧力の複合低エネルギ接合におけるセンサレス温度制御システムの研究開発
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26350556
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Research Institution | Matsue National College of Technology |
Principal Investigator |
青代 敏行 松江工業高等専門学校, 電子制御工学科, 講師 (40571849)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 手術機器 / 生体組織接合 |
Outline of Annual Research Achievements |
【PWMアンプによる専用加熱制御回路の開発と評価】これまでに実験で使用していたPWMアンプを用いたヒータ加熱制御回路は,温度センサや電流センサなどの回路と電源基準が共通になっていた.そのためPWMアンプ特有なスイッチングによるノイズがセンサ信号に影響を及ぼし,熱電対によるヒータ・生体組織接合部の温度計測精度が低かった.また電流センサによるヒータ部加熱温度の推定精度が低下することが懸念されていた.PWMアンプによるノイズの対策として,PWMアンプ内のロジック回路と出力回路部の間にフォトカプラなどの電子素子を用いて,熱電対や電流センサなどのアナログ回路電源とヒータ電源を完全に分離したPWMアンプによるヒータ加熱専用制御回路を開発した.その結果,計測した温度信号にノイズ成分が見られず,安定性に優れた温度制御を実現した. 【ヒータと生体組織の温度変化測定による熱伝導モデルの妥当性評価】これまでに構築したヒータ温度と生体組織温度に注目した熱伝導モデルの妥当性を評価するために接合中のヒータおよび生体組織近傍温度を測定した.加熱中のヒータ温度と生体組織温度測定結果は構築した熱伝導モデルと同等であり,熱伝導モデルの妥当性は確認された. 【電流と発熱量による温度推定実験】ヒータの生体組織接触部温度は,ヒータ温度で推定することが出来ることが示唆されている.またヒータ熱容量に達するまでのヒータ温度とニクロム線の印加電流の関係には比例関係がある.接合中のヒータおよび生体組織近傍温度に対してヒータに印加される電流を電流センサで測定した.電流の積分値と加熱中のヒータ温度,生体組織温度の間に線形性が見られた.その関係を用いて,熱電対を使用せずに電流センサのみで温度制御を行った結果,目標温度到達までは制御可能であったが,その温度を維持することが難しく,また外乱に対して制御性能は貧弱であることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的に対して,ヒータ加熱専用PWMアンプによる制御回路の開発,熱伝導モデルの妥当性評価,電流と発熱量による温度推定・制御実験を実施した.PWMアンプのスイッチングに対するノイズ対策を施した制御回路を開発し,その回路を用いてヒータと生体組織の熱伝導モデルの妥当性が確認された.またヒータ・生体組織温度とヒータ電流値の積分値に線形性が確認され,当初の研究実施計画に対して,生体組織の病理観察を除くすべての研究項目において順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの知見をもとに,ヒータ電流の積分値を用いた熱電対を使用しない温度制御システムの再構築,研究アドバイザおよび医師による手術機器デバイスシステムの評価をしていただく.ヒータ電流の積分値に加え,ヒータと生体組織の熱拡散,温度低下度合いも熱伝導モデルに反映させることで温度制御性能の向上を図る
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Causes of Carryover |
計画していた当該年度の研究項目を概ね執行することが出来た.その際に購入した物品が若干安価に購入できたため,次年度使用額が生じてしまった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
デバイス評価のために今後,PWMアンプによる専用加熱制御回路に使用している電気・電子回路素子や加熱源に使用しているニクロム線などの消耗品を頻繁に交換することが予想される.そこで,これらの消耗品の購入に使用する
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