2014 Fiscal Year Research-status Report
超高解像度局所分子機能定量SPECT画質改善のための画像再構成アルゴリズムの開発
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26350558
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
銭谷 勉 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (50443487)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 医療 / 生体機能 / 放射線 / 画像 / アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
従来、SPECT撮像において、ヒトのような大きな被写体の局所領域をピンホールコリメータなどで拡大撮像した場合、データ欠損(トランケーション)が生じるため、正しい画像が得られなかった。これまでの研究で、トランケーションを許す画像再構成法が開発され、また、ピンホールコリメータの感度不足はマルチピンホールコリメータによって改善された。本研究では、局所拡大SPECT撮像の実用化を目指して、定量性、解像度、視野、画像歪を改善する。本年度は、撮像システムとして使用するフルデジタル検出器において、ガンマ線の検出位置推定演算手法を検討し、位置推定精度を改善させることで画質改善を試みた。ノイズ低減によって位置推定精度改善を目指すが、1つ目の方法は通常の重心演算にしきい値処理を加える。2つ目の方法は、局所領域のみの信号を使って重心演算をする。これらの演算ソフトウェアを開発し、物理実験によって検出器の固有空間分解能を評価した。実験の結果、検出器の固有空間分解能は改善されなかった。検出器上の信号の分布を確認すると、ガンマ線検出領域付近以外のバックグラウンドノイズはほとんど見られなかった。これは、フルデジタル検出器であるため、ノイズが十分に抑制されていたためと考えられる。また、検出器の位置直線性も良く、現在の演算方法でも、画像歪はほとんどなかった。これは、従来のSPECT検出器では直径50mm~75mm程度の大きな光電子増倍管を使用しているのに対して、本検出器では直径6mmの小さい光電子増倍管が密に配列されているためと考えられる。ノイズが十分抑制されていることが確認でき、実用化に向けた撮像システムの最適化がなされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究目的は検出位置推定精度を改善させるための検出位置演算手法を検討し、解像度、画像歪、視野の改善させることであった。ノイズ抑制によって推定精度改善させる演算手法を開発し、実験的に評価したが、改善がみられなかった。しかしこれはフルデジタル検出器によってノイズが十分に抑制できていることがかわった。位置の直線性も良く、画像歪の問題もほとんどないことが確認できた。検出位置推定手法による撮像システムの最適化がほぼなされた。以上、本研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、高い画像定量精度を確保するために、被写体内でのカンマ線の吸収および散乱線の影響を補正する処理を局所拡大ピンホール画像再構成アルゴリズムに組み込む。評価には、本研究室で開発した3次元脳ファントムを積極的に利用する。実際の脳に非常に近い構造を持っており、実際の頭部撮像を想定した評価が精度良くできる。また、散乱線補正としてモンテカルロベースの手法を用いるので最適化するまでは計算時間かかるため、高性能のコンピュータを導入し、研究を効率よく進める。
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Causes of Carryover |
本年度、モンテカルロシミュレーションによって画質改善を検討する予定であったが、実験で得た実データで検討することができた。モンテカルロシミュレーションは計算時間がかかるので、最新高性能のコンピュータを導入する必要があったが、本年度はその必要性がなくなり、それよりも次年度は散乱線補正処理にモンテカルロシミュレーションを必要とするため、次年度に最新高性能のコンピュータを導入するのが得策を考えたため、コンピュータ購入予定額に相当する次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度、最新高性能コンピュータ購入予定額に相当する1,038,880円の次年度使用額が生じた。次年度、これと平成27年度交付額1,100,000円を合わせて、2,138,880円が使用可能である。次年度は本年度購入予定だった最新高性能コンピュータ450,000円/台×2台=900,000円、実験に必要な補正データ収集用鉛板130,000円、放射性薬剤100,000円を購入する。これに旅費800,000円、その他200,000円を合わせて計2,130,000円を使用予定とする。
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