2015 Fiscal Year Research-status Report
中枢神経コネクト―ムを介した新規嚥下障害治療法の開発
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26350578
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
山脇 正永 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30302855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檀 一平太 中央大学, 理工学部, 教授 (20399380)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 嚥下障害 / リハビリテーション / 脳機能マッピング |
Outline of Annual Research Achievements |
嚥下運動時の大脳からCPGへの促進性/抑制性シグナルを軸として、大脳皮質の領域間連絡を解析した。より臨床的な側面から実際に治療で用いられる、食形態(液体、ゼリー、など)・味覚による嚥下運動の変化・口腔内への感覚入力(アイスマッサージ、痛覚受容体を介した刺激)・姿勢変化の条件で測定した、正常対象20例、嚥下障害患者7例の検討の結果では、テント上からCPGへの抑制シグナルの存在が疑われた。特に、従来言われていた温度刺激のみならず触覚刺激が嚥下運動に主要な枠割を果たしていることが示唆された。また、得られたデータから、嚥下困難に関する脳内表象パターンを抽出し、NIRSによる易嚥下性の評価尺度への応用が可能と考えられた。 さらに臨床応用への準備として、口腔内科(歯科)・咀嚼学、ロボット工学、食品科学、リスク工学の研究者と連携体制を整た。リハビリテーションを念頭に置いたロボティクス分野では、リスク工学(プロセス管理工学)の協力により工学分野も含めた集学的なアプローチの基盤ができた。また、脳機能を含む嚥下動態の長期的モニタリングも重要であることが示され、現在新たなデバイスを開発、知的財産としての準備を開始している。 本研究の結果から嚥下障害の新たな治療アプローチとして、CPGよりも下位レベルのみでなく、上位のアプローチも十分臨床的応用が可能であると考察した。本研究の結果は、国内外に先駆けて、大脳中枢とCPGに対する薬理学的・生理学的アプローチによって嚥下運動の再現をはかる全く新しい治療法の開発に資すると考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標である、1)嚥下運動における大脳皮質活性の連結性解析(コネクトーム解析)を測定する、2)嚥下障害における大脳皮質活動のコネクトーム・パターンを解析する、3)実際の摂食・嚥下リハビリテーション手法の科学的基盤を解明する、の3点について予定通りに進行している。また、本研究結果を産業応用する準備についても開始出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床応用への準備として、大脳磁気刺激による嚥下治療法開発の準備を行うと共に、口腔内科(歯科)・咀嚼学、ロボット工学、食品科学、リスク工学の研究者と連携体制を整えつつある。特に食品科学(texture, 食形態など)、咀嚼学(歯科)については実地応用への取り組みを開始しており、より一層発展させてゆく予定である。また、リハビリテーションを念頭に置いたロボティクス分野では、リスク工学(プロセス管理工学)の協力により工学分野も含めた集学的なアプローチによる臨床応用を行う基盤を形成する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度後半にNIRSデータの空間分析に使用する消耗品の購入を予定したが、在庫待ちで次年度使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
NIRSデータの空間分析に使用する消耗品については、在庫が到着し次第使用予定である(5月下旬から6月)。なお、本消耗品により研究計画全体の進捗に影響はない。
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