2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26350589
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
佐々木 信幸 国際医療福祉大学, 大学病院, 教授 (60328325)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脳卒中 / 急性期 / 非侵襲的脳刺激 / 経頭蓋磁気刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究においてrTMSが慢性期だけではなく発症早期の上肢麻痺にも有効であることを報告した。しかし発症早期の下肢麻痺に対するrTMSの報告はないため調査した。初発の片側の内包~放線冠の脳梗塞と視床~被殻の脳出血患者21名をランダムに、実際にrTMSを施行するrTMS群11名と偽刺激を行うsham群10名の2群に分けた。発症後平均11.0日からrTMS群には両側前頭葉下肢運動野に対しダブルコーンコイルによる10HzのrTMSを、sham群には偽のコイルによる音のみの刺激を1日2000発、連続5日間施行した。rTMS開始前と終了後に下肢Brunnstrom recovery stage(L-BRS)とthe Ability of Basic Movement Scale(ABMS)を評価しその変化を2群間で比較した。全例で有害事象は認められなかった。rTMS開始前のL-BRSはrTMS群で3.3±1.3、sham群で3.5±1.6と差はなかったが、rTMS終了後のL-BRS改善度はrTMS群で0.67±0.82、sham群で0.15±0.32と有意差はないもののrTMS群で高かった。同じくrTMS開始前のABMSはrTMS群で17.5±4.5、sham群で18.4±4.8と差はなかったが、rTMS終了後のABMS改善度はrTMS群で0.49±0.30、sham群で0.20±0.17とrTMS群で有意に大きかった。急性期~亜急性期における下肢麻痺に対するrTMSは麻痺の随意性の改善に寄与するとまでは言えないものの、基本動作能力の改善には有効であると思われた。ただしダブルコーンコイルによる高頻度刺激は両側運動野の賦活であるため、改善の機序について機能的脳画像評価などによる検証が望ましい。 これらの結果について学会発表及び英語論文投稿中。また上肢運動野に対するrTMS 論文アクセプト。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は急性期脳卒中患者の下肢運動野に対するrTMSの有効性についての検証を目標とした。予定通り研究をすすめ、学会発表や論文投稿を行えたため、概ね予定通りと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度は認知領域へのrTMSを行う予定である。ただ、H26年度における認知領域rTMSの対象者は少なかったため、統計的処理が行える数を揃えられるかは未知数である。そのためこの4月から脳血流シンチグラムを用いたrTMS介入前後のデータも撮り始めており、認知検査結果のアウトカムだけでなく脳血流量変化から効果を検出できるか検討している。
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Causes of Carryover |
研究開始年度にちょうど現在の勤務先に異動が決まり、前勤務先にはあった研究に使用する物品(装具)が無いことが分かったため、その物品購入を優先した。購入までに時間を要したが、その間はデモ品のレンタルにて対応した。 また、研究デザインに必要なデータベースを構築するにあたり、本年度後半に現勤務先に電子カルテが導入されることになり、その兼ね合いでデータベースシステム構築は先延ばしにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度はデータベースシステム構築、それに関わる物品の整理を行う。すでに見積りは依頼中である。
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Research Products
(5 results)