2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26350589
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
佐々木 信幸 国際医療福祉大学, 大学病院, 教授 (60328325)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 経頭蓋磁気刺激 / リハビリテーション / 脳卒中 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性期脳卒中の下肢麻痺に対するrTMSの有効性を国内国外学会で報告した。現在論文投稿中。 脳卒中患者の精神機能への適用報告は少ないため今回慢性期脳卒中患者の内側前頭前皮質(mPFC)及び背側前帯状回(dACC)への反復性経頭蓋磁気刺激(rTMS)がこれらの精神機能に良い影響を及ぼすかどうか調査した。 発症後平均4.9±4.2年が経過した慢性期脳卒中患者14名を無作為に、実際にrTMSを施行するrTMS群と、施行したふりをするsham群の2群にわけた。rTMS群にはバタフライコイルを用いて外耳孔から眼窩耳孔線に対し30度上方の前頭部正中位よりdACCに向けて10Hzの高頻度rTMSを1日2000発、連続5日間施行した。sham群には刺激装置に繋がっていないダミーコイルを同様に設置した上で背後のスピーカーよりrTMSの刺激音のみを聞かせた。全対象に対し5日間のrTMS介入前後でapathy scale(AS)、簡易抑うつ症状尺度日本語版(QIDS)を施行し、その変化量を改善度として統計的に比較した。 全対象とも有害事象なく研究プロトコールを完遂した。ASの改善度はrTMS群では5.7±5.5点であるのに対しsham群では-0.5±1.9点と有意にrTMS群で大きかった。QIDSの改善度はrTMS群では7.0±6.2点、sham群では2.0±3.0点とrTMS群で高い傾向にはあったが統計的に有意な差はなかった。 前頭葉機能の中でもmPFC及びdACCはアパシーや行動開始に関わる部位であり、高頻度rTMSによる促通によりそれらの機能を高めることができる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は予定通り前頭葉内側の高次脳機能に対するアプローチを開始した。しかしこれまでに例のない介入であるためまずは慢性期脳卒中患者を対象に有効性と安全性を確認した。すでに急性期症例に対する介入を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在急性期脳卒中症例において内側前頭葉皮質および背側前帯状回に対する高頻度rTMSを施行中であり、可能な症例については介入前後でのSPECTも施行している。少数のケースシリーズでは有効性を確認できており、今後RCTデザインでの介入研究に進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度施行した慢性期脳卒中者の自発性に対するrTMSを発展させ、より発症早期に対する適用研究を開始しているが、クライテリア上予想より症例が集まらないことがわかった。そのためまずは小規模のケースシリーズでの結果を出し報告した後に、クライテリアの基準を緩めてより多くの対象でRCTデザインの研究を行う予定である。そのため次年度に配分を残した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
回復期における適用のケースシリーズは6月に学会発表予定。次のRCTは秋ごろまでに結果を出し次年度3月の脳卒中学会における発表と同時期に論文投稿できるように準備する。なお、RCTにおける評価はセラピストの一般業務の範疇で行えるものを用いており研究協力や謝金等は必要ないが、評価の正確性・妥当性・再現性を高めるために用いている評価尺度を検討しており、おそらくタッチパネル付のPCが別途必要になる見込みである。またより深部の正確な刺激のために新たなコイルを購入することを検討している。
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Research Products
(6 results)