2014 Fiscal Year Research-status Report
脳梗塞モデルにおけるミクログリアとマクロファージが神経機能に与える影響の解明
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26350591
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
西山 康裕 日本医科大学, 医学部, 助教 (20350077)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脳虚血モデル / ミクログリア / 炎症性サイトカイン / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
実験動物として雄性11-14週齢のC57BL/6Jマウスを用い、30分間の中大脳動脈閉塞sutureモデルを作成した。脳梗塞モデル作成翌日に脳細胞の単離を行った。すなわち、脳を取り出しホモジュナイズした後に、Liberase CI(Roche社製)を用いて60分間インキュベートを行い、比重法にて回収した。その後flow cytometry(Becton Dickinson社)で解析を行い、ミクログリアの部分にgateをかけ、その割合からミクログリアの実数を算出することが可能であった。 一連の予備実験の成功後、コントロール、脳梗塞後1日、3日、5日の4群の脳細胞からミクログリアをFACSDiva (Becton Dickinson社)を用いて、特異的にsortingし、RNAを抽出。その後cDNAを合成した。Sortingは冷却水をまわしながら行うことで、細胞の劣化を可能な限り防ぐ事が可能であった。各サンプルは3匹の脳細胞を混ぜることで、脳梗塞モデルの梗塞体積や動物間のばらつきを防ぐこととした。 一方で、得られた脳細胞からの遺伝子検索研究を開始するにあたり、予備実験としてマウス腸間膜リンパ節を用いて内在性コントロールおよび代表的炎症性サイトカインなどをrealtime PCR (PIKOREAL 96:Thermo fisher scientific社)で解析し、これらの実験系の動作性を確認した。すでに各群のサンプルから各種サイトカイン、ケモカインの解析を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脳梗塞モデル作成、脳細胞単離、フローサイトメトリーでの解析およびFACS Divaでの細胞回収については、小さなトラブルはあったものの、おおむね順調に進んだ。しかしながら、回収したサンプルを用いて行ったreal time PCR法で得られたCT値が予想以上に高かったため、実験の遂行が困難であると考えた。原因としては、米国で予備実験を行っていた方法と様々なステップで異なる事(例えば、RNA回収キットやDNA合成キット、各種機械メーカー、さらには条件設定)であり、出来る限りの調整を行い、当初予定していたTaqMan primerを使用した方法ではなく、SYBR green法の導入も検討した。確かにSYBR greenの法がCT値は低いものが得られたが、サンプル量と検索遺伝子の種類などを考慮し、TaqMan primer法で条件設定の変更などを行った。その結果、比較的満足が得られる結果を得たので、再度プランを組み直し、予定通りTaqMan primerを用いたサイトカイン検索を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
各種炎症性サイトカインやケモカインをrealtime PCRで検討した結果、あらかじめ得られているマクロファージからの結果と詳細に比較検討が可能である。これをもとに、さらに新たなサイトカインなどのマーカーを検索したい。 さらに、米国での予備実験では、脳梗塞後にリポソーム封入クロドロネートを尾静脈から投与を行うことで、血液中の単球が除去されること技術は確立されていることから、クロドロネート投与によって脳梗塞後に外来性の単球の侵入が無い場合、上記で行った結果と比較して、ミクログリアの性質に変化が現れるかどうかを検討する。
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Causes of Carryover |
一連の実験にて得られたDNAをrealtime-PCRで遺伝子発現を解析したが、CT値が予想以上に高かったため、実験の遂行が困難であったため、進行を中断して、出来る限りの調整を行った。この間、条件設定などに時間を費やしたため、新たな遺伝子プライマーなどの購入の必要がなく、この分の繰越金が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
元々は注文する予定のプライマーの発注時期が遅れたという結果であり、今後研究を進めていく上で使用させて頂くこととした。その他の実験については、現時点で予定通りである。
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