2015 Fiscal Year Research-status Report
脳梗塞リハビリにおける薬剤投与の有効性と神経可塑性を制御する分子機構の解明
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26350596
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
水谷 謙明 藤田保健衛生大学, 藤田記念七栗研究所, 講師 (30351068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
園田 茂 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (10197022)
脇田 英明 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (80416172)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | セロトニン / 脳梗塞 / リハビリテーション / 薬剤併用療法 / 神経可塑性 / 機能回復 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、脳卒中後の麻痺や障害に対して、脳の可塑性変化に基づいた新たなリハビリテーションという概念が浸透し始め、積極的に麻痺回復を行う治療戦略に関心が高まりつつある。本研究は、脳卒中リハビリテーションの麻痺回復に関連した機能的分子を活性化させる薬剤投与により、脳内の神経可塑性を誘起し、さらなる機能回復を目指すものであり、その効果規定要因・分子機構について基礎医学面から裏付けることを目的とする。 本年度は、運動訓練・薬剤併用療法による運動機能の回復過程を観察するとともに、詳細な機序を解明する一端として、脳梗塞巣辺縁の大脳皮質モノアミン動態について検討を行った。 脳梗塞モデルラットはphotothrombosisにより大脳皮質に梗塞を作製した。脳梗塞2日後から回転ケージによる自発運動訓練を行った群をEX群、訓練を行わなかった群をCNT群とし、それぞれの群に対して、脳梗塞後5日目に薬剤もしくはその溶媒の投与を行った。運動機能評価にはrotarod test を用いた。梗塞巣周囲大脳皮質組織は脳梗塞後8日目に採取し、HPLCによりモノアミンの比較を行った。 Rotarod testによる運動機能評価において、脳梗塞後8日目に訓練単独と比較して訓練薬剤併用療法で有意な機能回復が認められた。大脳皮質モノアミン解析では、セロトニンがEX群で有意な増加が認められ、さらに非投与EX群と比較して、薬剤投与EX群において有意な増加が認められた。セロトニンturnover (5-HIAA/5-HT)は、薬剤投与EX群において低値を示したことから、薬剤投与・訓練の併用はセロトニン代謝系に影響を与えている可能性が示唆された。また、rotarod testによる歩行持続時間とセロトニンとの間に有意な正相関が認められたことからも、脳内セロトニンが機能回復において関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の初年度において、基礎的な検討事項の見直しが必要となり、その影響により研究の進捗はやや遅れてはいる。しかしながら、脳梗塞モデルの作製法、訓練法、訓練頻度、薬剤濃度、各測定法の確立など条件設定等は終了し、本年度は実際の解析に移行した。その中で、次年度へと繋がる一定の知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の解析において、脳梗塞後の機能回復に伴いセロトニン動態に変化が認められたが、このセロトニンが麻痺回復に関与しているのか、もしくは回復が生じた後の結果として増加していたのかが未だ不明であり、セロトニンが直接的に機能回復に関与しているのか否かについて解析を行う。また、訓練薬剤併用療法においてセロトニン増加の分子機構が不明であるためこの機序についても併せて検討する予定である。
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Causes of Carryover |
購入予定であった備品(マイクロシリンジポンプーフラクションコレクター)の購入に至らなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
購入予定の物品(マイクロシリンジポンプーフラクションコレクター)の購入に充てる。
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Research Products
(4 results)