2016 Fiscal Year Research-status Report
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26350600
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
Principal Investigator |
角田 晃一 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, 部長 (30197751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関本 荘太郎 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (00010059)
伊藤 憲治 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (80010106)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 失声症 / 左右脳機能 / 機能的f MRI / 赤外線トポグラム / 中枢調節 / 日本語 / 特異性 / 角田理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで萌芽研究により過去四年間に渡り、機能的MRI(f MRI)を用いて発声における中枢の変化について解明してきた。実際の臨床に際して、f MRIを用いて患者の診断機器として使用するには煩雑であった。そこで、より簡易かつ低侵襲の機器として光トポの2chのものを用いて左右の脳の比較を行い、左右の脳の優位性等臨床的に代用を試みた。しかしながら、前頭葉の一部のみを比較するにとどまり、側頭葉の実際の発話に関する部位左右差を同時に測定するには不十分であった。 それに伴い多チャンネルの本研究専用の光トポが購入できたため、これまでのf MRI、赤外線トポなど生理的データと比較し更なる解明を行っている。会話における聴覚・発声の左右脳の特性を解明し、臨床における機能性発声障害の分類、治療効果判定法を解明する。 平成28年の一年間は、新規購入の22chでの機器による検証を踏まえて、1.機器の整備、分析プログラムの作成、2.これまでの実験タスクと2ch機器との整合性の検証を行いデータを72例で検証した。簡易赤外線トポグラムの臨床応用を目指す基礎研究はその成果が得られ、昔から指摘されている日本語で育った人間における虫の声の処理機能の非日本語環境で育った人間との違いの証明がなされ、英文誌に発表した (Acta Otolaryngol.2016;136:568-74) 本年度は本研究の実験精度を上げるべく東京外国語大学の留学生の協力を得て、被検者を増やすことで、更なる未知の脳機能の解明に挑む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分析プログラムと研究条件に関して検討し、分析プログラムに関しては英文誌に掲載され本研究を遂行することに弾みがついた。日本語で育った日本人と日本語以外の言語環境で育った非日本人を比較し、会話、母音、ホワイトノーズ、楽器、自然音を被検者に聴取させ脳活動・血流の流れを分析し、国内学会で発表する予定である。また、失声患者の脳活動、咽頭内視鏡所見、音響分析を治験前後に行い比較し、その症例を基に心因性発声障害における音声訓練リハビリテーション介入の可否の診断、リハビリテーションの治療効果判定、脳外科や頭頚部外科での頸動脈の遮断術における、術前における言語中枢の左右局在同定など、臨床的への応用の可能性を提案していくため、症例数を増やしている最中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今ScienceやNature誌で盛んに指摘されている同様のタスクにおける中枢の神経活動測定における再現性の問題に対処すべく検証が必要である。それに対し被検者モニターシステムを構築し、実験条件の標準化を厳密にし、データの検証を行っている。今後さらに被検者を増やすことにより、引き続き生理実験で脳機能の解明に臨む。
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Causes of Carryover |
研究遂行中にNature誌Science誌において、脳の計測研究の再現性が問題視され、研究成果の第三者による有効利用を鑑み、英文誌に問題視されないように実験条件の強化を行い、実験中の被験者のモニターシステムを開発した。このため当初の研究計画の検証は、一時中断し、協力者によるモニターシステムの検証を施行した。現在そのシステムの有効性に関する論文は英文誌投稿、現在査読中である。 このため被験者を用いての生理実験が停止した。安全性の確認終了後、現在この新しいモニターシステムで被験者での生理実験を行っている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は主に被験者への謝礼と、研究補助者への謝礼および機器の整備費、学会発表参加費、英文誌発行の際の印刷代等に充てる。
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Research Products
(2 results)