2015 Fiscal Year Research-status Report
ヒトの歩行運動における大脳皮質運動野の役割~筋内・筋間コヒーレンス解析を用いて~
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26350611
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高橋 真 広島大学, 医歯薬保健学研究院(保), 講師 (50435690)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 歩行 / 運動野 / 皮質脊髄路 / 筋電図 / コヒーレンス解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は大脳皮質運動野の錐体路細胞の律動的な活動を評価する方法である筋内・筋間コヒーレンス解析法を用いて,ヒト二足歩行の皮質制御機構を明らかにすることである. 前脛骨筋(Tibialis anterior:TA)は歩行時遊脚期において,足趾のクリアランス確保のため,足関節の背屈に作用する.しかしながら,高齢者ではTAの機能障害に起因する遊脚期の背屈減少が認められ,つま先が地面や障害物に接触することで転倒につながりやすいとされている.このような転倒を予防するために,つま先に重錘負荷を課す歩行トレーニングの試みがなされ始めているが,このTAの制御に皮質脊髄路がどのように関わっているかは未だ明らかではない. そこで,本年度は健常若年者を対象に,つま先に重錘負荷(500g)を行いトレッドミル上で歩行した際のTAの近位部と遠位部の筋内コヒーレンス解析を用いて,皮質脊髄路の関わりを検討した. 課題は重錘負荷有り無しの5分間のトレッドミル歩行の2条件で,TAの近位部と遠位部から表面筋電図を記録した.得られた筋電図データより遊脚期のTAの筋内コヒーレンス解析を行った. その結果,重錘有り条件では筋電図積分値の有意な増大は観察されたが,運動野における錐体路細胞の律動的な活動が皮質脊髄路を介して末梢に伝搬される遠心性の現象を反映するとされる15から35Hzの帯域でのTAの筋内コヒーレンスは2条件間で有意な差を認めなかった. 以上の結果より,つま先に重錘負荷を行う歩行トレーニングではTAの筋活動を増大させるが,運動野・皮質脊髄路の関与は増大せず,神経-筋トレーニングの観点からはトレーニング効果が期待できないことが示唆される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トレッドミル上での定常歩行および各種条件下での筋内・筋間コヒーレンス解析による新たな研究成果を得た.また,より皮質脊髄路の関与が必要とされる歩き始めの歩行中の筋内・筋間コヒーレンスのデータが集積しつつあり,3年間の研究計画はおおむね順調に進展していると考えられる,
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度および今年度に得られた研究成果を学術論文としてまとめるとともに,最終年度である次年度は特に歩き始めおよび障害物回避時のデータを収集し,研究を完成させる予定である.
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Causes of Carryover |
当初の予定にはなかったが,最終年度で新たな研究機器が必要となり,次年度の助成金と合わせて研究機器を購入するため..
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の助成金と合わせて,研究機器を購入する予定である.
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Research Products
(2 results)