2016 Fiscal Year Research-status Report
定量的な組織性状マッピングに基づくヒト骨格筋の可塑性評価と運動療法の基盤形成
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26350619
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
谷口 圭吾 札幌医科大学, 保健医療学部, 准教授 (90381277)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 理学療法学 / リハビリテーション評価学 / 画像評価診断学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,ヒト筋腱組織の可塑性評価および筋損傷の機序解明や運動療法の基盤形成にむけて,定量的な組織性状評価の臨床的意義確立に関わる実験をおこなった.超音波剪断波エラストグラフィを用いて,股関節屈曲角度が股屈曲運動における長内転筋の収縮時スティフネスに及ぼす影響を検討した.その結果,股関節屈曲運動に伴う長内転筋の筋スティフネスは,股関節角度の影響を大きく受け,伸展20°~屈曲20°でより高値を示した.このことから,股関節屈曲運動に伴う長内転筋の力学的ストレスは伸展域~浅屈曲域で高くなる可能性が示唆された.本知見はスポーツ動作における長内転筋の損傷メカニズムを解明するための基盤情報になりうると考える.また,受動的な股関節運動が大内転筋後部線維の弾性変化に及ぼす影響の検討では,股関節外転に伴う弾性は角度間に差を認めなかった.一方,股関節屈曲に伴う弾性は屈曲0°と比較し,屈曲100°,120°で有意に高値を示した.したがって,股関節の深い屈曲位での著明な弾性増加は筋損傷に関与する大内転筋後部線維の受動張力発生を示す可能性がある.さらに, 前十字靱帯再建術後症例を対象に膝蓋腱採取後の受動的な腱弾性変化を検討した結果,健側および患側の腱内外側部は,膝関節屈曲に伴い弾性率の増大がみられたが,患側の中央部は屈曲に伴う明らかな弾性変化を認めなかった.したがって腱採取部の力学特性は,術後6ヶ月では回復しない可能性がある。このような患側における膝蓋腱の弾性分布が健側と異なったことは,術後早期における腱組織の力学負荷パターンの変化を示唆し,術後合併症の病態に関する基礎的知見になると推察される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト生体における骨格筋の定量的な性状評価法の確立に向けて,組織弾性を規定する要因の解明は継続した検討が必要であるものの,剪断波エラストグラフィ法を用いた臨床応用の可能性を探る検証はほぼ予定通り遂行できている為.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,骨格筋の組織弾性評価に基づいた運動療法の基盤形成や運動器障害の病態解明に繋がる臨床応用の可能性を探る予定である.具体的には骨格筋にかかる力学ストレスに対する治療効果を解明する目的で,筋組織の性状特性に及ぼす運動療法や補装具療法の影響を定量する実験を遂行し,その成果を学術大会および国内外の論文で公表する計画を立案している.
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Causes of Carryover |
当初の予定より導入が遅れた剪断波エラストグラフィ用の超音波高周波リニアプローブ2-10MHz・SuperLinear10-2(SuperSonic Imagine社製,フランス)を活用し,ヒト骨格筋の可塑性評価と運動療法の基盤形成のなかで特に臨床的意義の確立に向けた実験遂行とその成果公表を進めることにより,本研究課題の目的をより精緻に達成する為.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度の研究経費は申請時に記載した使途に加えて,前年度の助成金残額を使用し,超音波撮像に要する消耗品の購入,研究協力謝金や学会発表・論文投稿時の費用に充てる予定である.
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Research Products
(10 results)