2014 Fiscal Year Research-status Report
歩行中の方向転換におけるプロアクティブ姿勢制御戦略障害に関する基礎的研究
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26350622
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
星 文彦 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (40165535)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | postural control / walking / change in direction / reaction time / stepping strategy |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、分析パラダイムの構築と健常成人を対象に歩行中の方向転換動作課題における頭部・腰部の方向転換反応時間と方向転換時にステップ運動戦略パターンの基礎データを収集した。 対象は健常成人男性10名 (平均 24.5歳)と健常成人女性10名 (平均27.0歳)とした.課題は10m歩行路において,4~5m程度の定常歩行後,方向指示刺激装置(イリスコ社)により矢印ランプで転換方向を提示し(光刺激),その方向にできるだけ早く左右90°方向転換するものとした.光刺激は足底に付けたフットスイッチを用いて右または左足踵接地のタイミングとした.光刺激脚(支持脚)と転換方向の組み合わせで4パターンに分類(支持脚/転換方向:左足/左,右足/右,左足/右,右足/左)し,各5試行ずつ計20試行実施した.光刺激後のステップ戦略はビデオカメラ(JVC社;GC-YJ40)を用いて分析した.ステップ戦略は転換方向と反対側の足を軸足として転換方向側の足を踏み出した場合をstep turn,転換方向と同側の足を軸足とし,反対方向の足が軸足をクロスした場合をspin turnとした.また,光刺激から頭部・腰部が回旋するまでの潜時は慣性センサ(ATR-Promotions;TSDN121)を方向指示刺激装置と同期して計測した.結果は、ステップ戦略に関して,全ての対象者が支持脚方向の2パターン(左足支持/左方向,右足/右)でstep turnを,遊脚方向の2パターン(左足/右,右足/左)でspin turnを行った.頭部・腰部の方向転換運動は男女とも頭部が腰部に先行し、支持脚方向と比較して遊脚方向の頭部反応時間が速く出現した.頭部の支持脚方向反応時間は、362.5msec、遊脚方向反応時間は320.6msecであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歩行中の方向転換指示信号に対する頭部躯幹の回転開始反応時間および方向転換ステップ運動のパターン化に関する記録分析パラダイムがほぼ構築し、基準とする基礎データとして健康成人のデータを収集した。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度で構築した分析パラダイムと健常成人の基礎データに対して、高齢者および脳卒中者を対象に加齢および片側性脳損傷に伴う障害特性を明らかにすべく、臨床データの収集を進める。高齢者は歩行機能に支障を来す整形外科疾患や神経疾患等がない者を対象とし、脳卒中者は下肢に整形外科疾患の合併がなく、高次神経機能に障害がない独歩可能な歩行機能を有する者を対象とする。また基礎的身体能力評価として、10m歩行速度計測、TUGやFRTのバランス機能評価、ADL活動レベルの評価等を測定する。さらに、高齢者および脳卒中者のデータ収集に加え、軽度認知症者のデータ収集へ研究を展開して行く。
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Causes of Carryover |
実験補助者が大学院生を含むボランティアにより支援が得られたこと。方向転換指示信号発生器とフットスイチ同期システムの作成費および消耗品等の支出が少なかったこと。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度当初に開催される国際学会(WCPT 2015 Singapore)での成果発表への旅費の一部に当てる。臨床データ収集のための被験者謝金および実験補助およびデータ解析のための人件費に充当する。
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Research Products
(1 results)