2015 Fiscal Year Research-status Report
歩行中の方向転換におけるプロアクティブ姿勢制御戦略障害に関する基礎的研究
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26350622
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
星 文彦 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (40165535)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 歩行 / 方向転換 / 反応時間 / 運動戦略 / ステップターン / スピンターン / 立位バランス / 安全 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年実施した健常成人を対象とした歩行中の歩行転換動作課題における頭部と腰部の方向転換開始反応時間と方向転換時のステップ運津戦略パターンの計測方法と集積した基礎データに基づき、健康高齢者及び脳卒中片麻痺患者を対象に昨年度の計測パラダイム従いデータの集積と分析を行った。結果は、頭部と腰部の方向転換開始反応時間は、若年成人-高齢者-脳卒中者の順で反応時間が速く、有意差が認められた。方向転換時のステップ運動戦略パターンについては、昨年度の基礎データから、若年成人は合図提示のステップ下肢と同側への方向転換(例えば右の足のステップ時に右方向への方向転換指示)の場合は、全員ステップターン、合図提示のステップ下肢と反対側への方向転換(例えば右の足のステップ時に左方向への方向転換指示)の場合は、全員スピンターンであった。今年度集積したデータでは、高齢者では、合図提示のステップ下肢と同側への方向転換(例えば右の足のステップ時に右方向への方向転換指示)の場合は、ステップターンをとる者92.5%で、他は混合パターンであった。合図提示のステップ下肢と反対側への方向転換(例えば右の足のステップ時に左方向への方向転換指示)の場合は、スピンターンをとる者が45%、他は混合パターンであった。脳卒中者の場合は、麻痺側-非麻痺側の関係から場合分けを行い、非麻痺側合図-非麻痺側への方向転換の場合、麻痺側合図-麻痺側への方向転換の場合、共に全員ステップターンをとった。一方、非麻痺側合図-麻痺側への方向転換の場合、スピンターンをとる者45%、他は混合パターンをとった。麻痺側合図-非麻痺側への方向転換の場合、スピンターンをとる者55%、他は混合パターンをとった。 これらの事から、高齢者及び脳卒中者の反応時間が遅延するとともに、立位バランスを確保するためにより安全な運動戦略をとる傾向にあることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年確定した計測方法と基礎データに従って、高齢者及び脳卒中者のデータを集積することができた。高齢者及び脳卒中者の結果は、おおよそ予測されら結果ではあったが、脳卒中者の症例数が十分ではなく、データ数の確保が求められると共に日常生活機能との関連性に関するデータ比較を行う必要性があり、次年度の計画に脳卒中者の対象者数を増加させることと副次的データとして日常生活レベル、認知機能等のデータを集積する事が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度、27年度で集積した反応時間及び運動戦略パターンのデータを基準に、27年度は脳卒中者の症例数の補填と副次的データの集積を行う。また、認知機能と歩行中の方向転換時に求められるバランス機能、姿勢制御の関連を検討するために、運動機能に問題のない認知症者を対象にしたデータ集積を行う。
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Causes of Carryover |
実験補助者が大学院生を含むボランティアによる支援が得られらこと。被験者のデータ収集に関わる謝金などが、シルバー人材センターのボランティに協力がえられらこと、また脳卒中者対象者の集積が十分出来なかったこと。フットスイッチの消耗が少なくフットスイッチの作成が少なく済んだこと。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度に開催される国際学会「XXI ISEK Congress,July 5-8, 2016  |  Chicago, Illinois」の出張旅費、及びデータ集積用加速度計の購入の一部を充てる。
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