2015 Fiscal Year Research-status Report
MRIによる非侵襲温度分布モニタリングを指標とした関節深部加温法の開発
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26350633
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
高橋 謙治 日本医科大学, 医学部, 准教授 (30347447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 輝 東海大学, 情報理工学部, 教授 (70205243)
加藤 和夫 明治大学, 理工学部, 教授 (80115104)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 軟骨 / 温熱療法 / 超音波 / 物理療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、[研究1]超音波による生体内温度算出の基礎データ蓄積、および[研究2]空胴共振器を応用した膝加温装置の作製 を行った。 [研究1]臨床で用いられる2.45GHzの極超短波を膝前方から照射し加温する前後に膝前方から超音波画像を撮像記録した。加温による組織内における音速変化を利用して加温前後の画像の微少変位量から温度分布計測を行った。この結果、最高温度の発生位置は皮膚から約1cmの深度であることが判明した。次にエアロバイクによるさまざま強度の負荷前後に膝の超音波画像を撮像した。最高温度の発生位置は極超短波による加温よりも深部であり関節軟骨に近い組織の温度が上昇している可能性が明らかになった。これらの生体内温度測定は正規化温度の計測であるため、温度絶対値での測定を実現するためには、膝組織の熱定数を具体的に求めることが必要であった。これに対し手術時に採取した関節組織を用いて、温度管理された水槽内加温実験を行い、関節組織温度の上昇とこの組織の超音波画像の変位量との関係を解析中である。[研究2]空胴共振器を応用した温熱治療アプリケータのための高周波電力増幅器を開発した。通常は、空胴共振器の大きさおよび空胴共振器内部に挿入する生体組織の電気的物性値に依存した複数の共振周波数が発生するが、本装置は関節内部を局所的に加温可能な周波数帯における本空胴共振器の固有共振周波数を自動的に探知し、最小の操作で膝内部の加温が可能な共振点自動サーチ機能を備えている。従来から空胴共振器の共振周波数を特定するのは、電磁気学の専門的知識が要求される。さらに周波数掃引とインピーダンス整合を高精度且つ速やかに実施するには、高い操作技術が不可欠とされていたが、これらの問題点がある程度解決できたと考えている。 以上より、超音波画像を用いたヒト生体膝の非侵襲温度計測法および空胴共振加温器開発の基礎的な準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
超音波による生体内温度測定は体動後に正確に同じ位置で撮像する必用があり、運動療法前後の温度変化を捉えることが困難なため。
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Strategy for Future Research Activity |
成27年度の超音波による生体内温度測定は正規化温度の計測であるため温度絶対値の測定には膝組織の熱定数を求めることが必用である。すでに水槽実験で熱定数を求める実験に着手しており個体数を増やして膝組織固有の熱定数を求める。また体動後に同じ超音波画像を撮像するための膝固定装置を作製する。これによって膝運動前後の関節内温度を非侵襲的に測定する。空胴共振による膝加温装置の開発では高周波発振器が完成したためこれを生体膝に応用するための小型アプリケータを作製予定である。寒天ファントムを用いたシミュレーション後、生体膝に応用し超音波による膝関節内温度を計測する予定である。
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Causes of Carryover |
研究進行の遅延に伴い、当初予定していた消耗品や旅費などの費用の計上を行わなかった。そのため、平成27年度使用額に残金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度の残金は平成28年度の助成金と併せて、水槽実験の消耗品購入および空胴共振器の開発に使用する。
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Research Products
(3 results)