2015 Fiscal Year Research-status Report
関節不動化によって生じる筋性疼痛の発生メカニズムと理学療法効果の解析
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26350638
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
肥田 朋子 名古屋学院大学, リハビリテーション学部, 教授 (20223050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水村 和枝 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (00109349)
縣 信秀 常葉大学, 保健医療学部, 講師 (00549313)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 不活動 / 機械痛覚過敏 / 腓腹筋 / nerve growth factor |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度以降、理学療法が関節不動化によって生じる疼痛発生を予防軽減するかについて、温熱療法としてホットパックを用いて実施してきたが、ホットパックの重みが機械刺激としての効果を示しているかどうかについては確認できていなかったため、今年度は加温していないホットパックの影響も確認した。その結果、加温されていないホットパックを用いた理学療法では不動化による疼痛発生を予防・軽減することはできなかった。また不動化によって増加が認められていた腓腹筋内のNGFタンパク量の増加も抑えることができなかった。以上のことはホットパックの機械刺激ではなく、温熱刺激が関節不動化による疼痛発生の抑制に効果的であったことをサポートするものであった。 一方、昨年度はHSP70が温熱刺激に効果的であるかについて検討したが、なぜ効果を示したかについてや、そもそもなぜNGFが増加するかについては不明なままである。NGFは炎症などによって産生されることが知られているが、関節不動化により不活動状態となった腓腹筋の組織学的解析では目立った炎症像は確認されていない。そのため、その後の解析につなげる試みとして炎症に関わる分子の発現に変化が認められないかを予備的に調べた。その結果、IL-10やIL-13など、逆に炎症を抑制するタンパクの発現が認められ、生化学的な解析の的を絞るまでには至らなかった。 その他、NGFに関しては組織学的にも解析を進めた結果、関節不動化による不活動状態ではNGFを発現した腓腹筋像がコントロールに比べ多く観察され、不動化によるNGF増加に関しては、生化学的にも組織学的にも示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
メカニズム解析のためには、なぜNGFが増加するかについて調べていく必要がある。NGFは炎症などによって産生されることが知られているが、関節不動化により不活動状態にした腓腹筋の組織学的解析では目立った炎症像は確認されていない。そのため、その後の解析につなげる試みとして炎症に関わる分子の発現に変化が認められないかを予備的に調べた。その結果、IL-10やIL-13など、逆に炎症を抑制するタンパクの発現が認められ、生化学的な解析の的を絞るまでには至らなかった。 またNGF解析用に用いていたキットの製造中止に伴い、新たなメーカーのキットでの測定に挑戦しているところであるが、現状良い結果が得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
いままで不活動状態で4週間経過した時点での解析を行ってきたが、今年度の予備的解析の結果は、4週目ではむしろ回復に向けた分子の働きを示しており、メカニズム解明のためには、不活動早期における変化を調べていく必要がある。関節不動化による不活動状態開始後1-2週で筋の機械痛覚過敏が認められることから、2週目までの筋組織における変化について調べていくことが大事である。まずは2週目における筋と後根神経節(DRG)を採取し、組織学的な解析を進める。筋においては生化学的な解析の遂行に向け検討を進めていき、メカニズム解析につなげていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
実験の都合上すべてを使い切るには少額過ぎたこと、および、測定項目の選定に時間を要し、今年度中に解析を実施する段階まで到達できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
測定項目の確定のために不活動期間短期時点における解析を進め、確定し次第測定に移行する。炎症系の関与は否定できていないため、そこに焦点を絞り実施していく。
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