2014 Fiscal Year Research-status Report
疼痛に対するニューロリハビリテーションの効果に関する神経メカニズムの検証
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26350643
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
森岡 周 畿央大学, 健康科学部, 教授 (20388903)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 疼痛 / 視線認知 / 運動観察 / 運動イメージ / 脳波 / LORETA解析 / 脳イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は我々がこれまでの臨床研究によって効果を確認している「慢性頸部痛患者に対する視線認知を伴う運動観察課題(GDR)(Nobusako, Morioka 2012)」が、疼痛の軽減に与える効果の神経メカニズムについて脳波を用いて検証することを目的とした。GDRは慢性頸部痛患者の75cm前方に実験協力者が座り、患者がその背面から頚部を観察しながら、実験協力者が75cm前方のテーブル上の①~⑥のナンバーブロックのいずれかに頚部あるいは体幹を回旋させながら視線を移動させたか患者に回答させるものである。回答の正否と反応時間を採取した。また、GDR中の脳波を多チャンネル脳波計を用いて計測した。頸部痛を有する対象者は頸椎捻挫によって通院している者であり、同年代の健常者を対照群として設定した。回答までの正反応時間については、健常者と比較して患者で有意な遅延が認められた(p=0.003)。一方、正答率については両群の間に有意差はみられなかった。脳波周波数分析の結果、患者・健常者ともにGDR時に一次感覚運動野領域のα波の有意な減衰が認められた(p<0.01)。患者と健常者の間に有意差は認められなかった。また、sLORETA解析によって脳波マッピングを行ったところ、GDR中、患者では健常者と比較して前帯状回の活動増加傾向を認めた(p<0.1)。これらの結果から、健常者に比べ頸部痛患者では正反応時間に有意な遅延が認められ、運動シミュレーション機能が劣るものの、脳波周波数解析より、両者ともにGDR中、一次感覚運動野におけるα波の有意な減衰が認められることがわかり、シミュレーション自体は行われていることがわかった。一方、sLORETA解析より、GDR中の患者は健常者と比較して、疼痛に関与する前帯状回の活動増加を認めた。この後、一次感覚運動野と前帯状回のコネクティビティを解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
患者のリクルートが遅れたことによって、脳マッピングまでは行えつつあるが、領域間のコネクティビティ解析までいたっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
頸部痛患者に対する視線認知課題の効果の神経メカニズムに関してコネクティビティ解析を早急に進めると同時に、今年度の課題である「急性痛を呈する対象者に対する振動刺激の効果のメカニズム」の検証作業を進める。
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Causes of Carryover |
デジタル圧痛刺激装置が当初予定していた額より安価に購入することが可能であったため。臨床施設でのデータ採取のため被験者謝金が必要なかったため。これによって次年度の使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
臨床データ採取のための研究補助員の充足が必要であることが判明したため、その時間給に使用する。
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Research Products
(13 results)