2015 Fiscal Year Research-status Report
疼痛に対するニューロリハビリテーションの効果に関する神経メカニズムの検証
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26350643
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
森岡 周 畿央大学, 健康科学部, 教授 (20388903)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 疼痛 / 振動刺激 / 運動錯覚 / ニューロリハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
橈骨遠位端骨折術後翌日より,腱振動刺激による運動錯覚を惹起させることで,痛みを減少されることをこれまでに明らかにした(Imai, Morioka, et al 2015).本年度は骨折術後翌日からの振動刺激によって,運動関連領域を活性化させることができるかを脳波を用い検討した.対象は橈骨遠位端骨折後手術を施行した9名.運動錯覚は両手掌を合わせ非罹患肢の手関節総指伸筋腱の手関節部に振動刺激を行い,非術側の手関節掌屈の運動錯覚とともに術側の手関節背屈の錯覚を想起させた.錯覚強度をVerbal Rating Scale(VRS)を用いて評価し,錯覚角度は非術側で再現,その角度をimage jで測定した.振動刺激の前後にVAS(Visual Analogue Scale)を用いて安静時痛と運動時痛の評価を行った.高機能デジタル脳波計Active tow systemを用い,安静時と振動刺激時のパワースペクトル解析を行った.9名中錯覚を惹起した者は6名(錯覚群),惹起しなかった者は3名(対照群)であった.錯覚群の錯覚角度は12.6,錯覚強度は4であった.術後翌日の安静時痛60.8mm,運動時痛68.0mm,反芻14.8,PRWE94.3であった.術後7日目では安静時痛13.8mm,運動時痛29.8mm,反芻6.6,PRWE74であった.対照群は安静時痛75.6mm,運動時痛70.6㎜,反芻11,PRWE94.3であった.術後7日目では安静時痛50.3mm,運動時痛56.5mm,反芻8.5,PRWE78.6であった.錯覚群は安静時に比べ振動刺激時に左右感覚運動領域,後頭頂葉領域においてHigh-αの減衰を認めた.橈骨遠位端骨折術後患者の運動錯覚中おいてα波の減衰が両側感覚運動領域に認められた.この結果から,術後翌日で痛みが強く,また運動が困難な患者においても腱振動刺激による運動錯覚を用いることで感覚運動関連領域の活動が得られることが明らかにされた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象者のリクルートが当初予定していたものより若干遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
この後,対象者のリクルートを速やかに進め,概ね根拠ある母集団が獲得された段階にて,主観的疼痛強度の減少と感覚運動関連領域の活動の関連を探り,疼痛抑制のメカニズムの根拠を明確にする。
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Causes of Carryover |
データ収集・解析に多くの時間を費やしたために、関連学会へのエントリーを行えず、学会出張(旅費)を行えなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際学会・国内学会へのエントリーを行い、本研究の成果を広く公表するつもりである。
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Research Products
(9 results)