2015 Fiscal Year Research-status Report
一般トイレ利用可能・車いすに常備できる折りたたみ移乗器の開発
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26350651
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
森 善一 茨城大学, 工学部, 教授 (70305415)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 介助機器 / 移乗器 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,平成26年度に行った試作1号機の評価結果を反映させ,試作2号機の設計・製作を行った.以下に研究実績の概要を示す. ● 平成26年度に作成した力学モデルを見直し,よりシンプルで適切な新しい力学モデルを構築し,シミュレーションを行った.以前のモデルでは,実際に使用する際のスリングシートのたるみ具合をモデル化できていなかったが,本モデルでは,移乗器と椅子にかかる荷重負担率を考慮することにより,シミュレーション結果を実験値に近づけることができた.また,移乗時に,機器の傾きを抑えることが,移乗時に必要な力を大幅に減少させることが分かった. ● 試作1号機において,機器とスリングシートの間に「巻き上げ器」を挿入した試作2号機を製作した.「巻き上げ器」の導入により,移乗時と着座時に高さの違いがある場合にも対応できるようになった.本巻き上げ器は手動としたため軽量・安価であり,ウォームギアを使用しているため,巻き上げ途中に手を離しても,逆回転による利用者の落下の危険はない.その他,利用者が重度な身体障がい者である場合,座位姿勢が崩れ,頭部が移乗器にもたれかかる状態が考えられる.そこで安全性を確保するために,移乗器にクッション部を追加した. ● 愛媛県立医療技術大学の窪田先生,佐賀大学の松尾先生,および特定医療法人財団健和会補助器具センター作業療法士の太田さんと共に,特別養護老人ホーム葛飾やすらぎの郷を訪れ,本邦の介護職の腰痛予防に資する福祉用具開発における課題と方法について検討を行い,その一部として,本機器の評価・課題について検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の申請書における計画に沿う形で,試作2号機の製作を行った.「巻き上げ器」が設計どおりに動作すること,および移乗器に付加したクッションの有効性を確かめることができた. また,実際の介護現場を訪れ,専門職の方々とのディスカッションを通して,本機器の有効性を客観的に知ることができた.本機器の問題点として,着座位置がやや浅めになる点があったが,その対策として,膝当て部の厚みを増すこと,専用のスリングシートの製作などの解決案が挙げられた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,試作機を実用レベルまで引き上げることがメインテーマとなる.使いやすさに加え,デザイン性等も考慮した製品化をめざすためには,可能であれば地元企業との協力が望ましい.地元企業の候補として,床走行移乗機の開発・販売を行っている「(株)アグメント」への交渉を検討している. また,本機器の発展課題として,機器へのセンサの埋め込むがある.例えば,傾斜計の値を常時モニタできるようにすれば,介助者はより適切な持ち上げ動作を行うことができる可能性が生まれる.また,椅子との距離をセンシングできれば,より安全に移乗を行うことができるようになる.
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Causes of Carryover |
物品が予定より安価に購入できたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の物品費として繰り越す.
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