2015 Fiscal Year Research-status Report
聴覚刺激の弁別選択によるP300型脳波応用支援システムの構築
Project/Area Number |
26350657
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
千島 亮 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80252112)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 非侵襲性脳波応用支援技術 / 重度神経難病 / 意思伝達支援技術 / 身体障害作業療法 / 事象関連電位P300 / 音像定位 / 骨伝導音 / Brain-Computer Interface |
Outline of Annual Research Achievements |
重度神経難病者(児)の生活支援に向けた作業療法支援方策の一つとして、脳波応用による支援技術(Brain-Computer Interface; BCI)技術に注目し、これまでのP300型BCIには用いられていない聴覚刺激に注目し、独自の支援システムの構築に向けた基礎的検討を進めてきた。 本年度はより利用対象者の利便性や活用負担を軽減できると考えられる「骨伝導聴覚刺激」を骨伝導ヘッドホンの片側伝導ユニットのみで加振した場合でのP300導出について健常者を対象として検討した。骨伝導音は純音に近似させた立ち上がり・下がり10 msで持続時間100 msのトーンバースト音を調音して用いた。目的とするP300成分は20回試行を加算平均して同定した。頭皮上に添付したAg-AgCl小型皿電極から誘発電位計測装置(別途、刺激装置より同期させ計測)サンプリング1 kHz、量子化16ビットでPCに取り込み解析した。骨伝導音の定時条件については、骨導端子(伝導ユニット)の頭蓋加振位置、刺激周波数、刺激音圧の設定条件からパラメータ設定して実施した。 健常被験者19名(平均26.8際、全員右利き者)のうち16名において1箇所の加振による骨伝導音で安定したP300成分が同定可能であった。音圧55 dB(HL)、500 Hzと1 kHzの組み合わせ条件でで、3名の被験者で主観的明瞭度が悪く(各周波数の弁別に迷うなど)、安定導出が困難であった。今回の実験条件のうち、最も安定した目的成分導出には、音圧60 dB (HL)・2.5 kHzと1.5 kHz の組み合わせ条件で良好な傾向にあった。また、振動子の加振位置は片側の外耳道入口部前方15 mmの側頭骨隣部において主観的な明瞭度が高い傾向にあった。気導からの日常生活音を阻害することが少なく、刺激部位の1箇所の加振で十分なP300成分導出が可能であることが確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H26年・H27年の継続研究に際し、研究代表者の所属研究機関の変更があった。H27年度研究計画実施に伴う倫理申請計画等の新研究機関での再申請準備などに伴い、新たな被験者公募等のリクルートが準備できず、新たなデータ収集が計画よりも少ない状況となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度計画は以下の5項目を中心に健常者でフィードバック実験を実施し、本研究計画で提案した聴覚刺激によるP300型BCIシステムの有用性の検証と課題を明確とする。 1:P300成分の安定導出に向けた最適な気導・骨導聴覚刺激条件の検討・明確化。 2:骨伝導音刺激呈示に関わる振動ユニット位置の検討。 3:仮想音源として調音する聴覚刺激について、健常被験者の識別(弁別)受聴精度の検討。 4:操作精度の向上と特徴抽出アルゴリズム構築の推進。 5:健常被験者からのデータ収集と分析・解析。本システムの有用性の検証。
|
Causes of Carryover |
H26年・H27年の継続研究に際し、研究代表者の所属研究機関の変更があった。H27年度研究計画実施によりまとめる予定であった国内学会への演題申請を行わなかったたため,旅費交通費として支出出来なかった.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度となるH28年度は,研究推進に伴う成果発表に於いて旅費交通費として支出予定である.
|
Research Products
(2 results)