2016 Fiscal Year Research-status Report
高齢社会に対応する視覚障害者誘導用ブロックの開発と評価に関する研究
Project/Area Number |
26350665
|
Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
田内 雅規 岡山県立大学, 保健福祉学部, 特命研究員 (00075425)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 孝文 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (70144061)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 視覚障害者 / 視覚障害者誘導用ブロック / 単独移動 / 車いす / シルバーカー / 高齢者 / 歩行速度 / 振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は従来のJIS型の視覚障害者誘導用ブロック(点字ブロック)の形状や配置を基本として突起の高さを低めたものを試作し、シルバーカー車いす通過時の振動発生について検討を行った。一方、研究代表者は、国土交通省の鉄道駅プラットフォームにおける転落防止用ホームドア設置時の点字ブロック敷設法に関する委員会に参加して、多様な視覚障害者の歩行を現行の点字ブロックで評価した。その結果、特に高齢や普段点字ブロックを視覚的に利用するロービジョンでは、線状と点状の突起を区別できない例があることを確認した。高齢社会においては、晴眼の高齢者ばかりではなく、視覚障害のある高齢者等についても再検討を行う必要のあることが示唆された。そこで昨年度は、シルバーカーや車いすにおける振動発生における研究を継続するとともに、視覚障害を有する比較的高齢や弱視者の歩行速度突起識別性について検討を行った。その結果、車いすによる振動発生については突起が低いロープロファイルのものでは頸や頭部における振れの発生が有意に抑えられることが分かった。シルバーカーにおいては非力な高齢者をシミュレートした被験者では側面角度が緩くなった低プロファイル型では突起乗り越えに有する力が有意に軽減されることが分かった。高齢視覚障害者においては、歩行の速度と低プロファイル型の突起識別性の検討において、歩行速度が低くなると突起識別が低下する可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
突起の高さを低めた低プロファイル型の視覚障害者誘導用ブロックは視覚障害者にとって検出や識別は容易であり、他の点字ブロック非利用者に対してもインパクトが少なく可能性が示された。その一方で、現行の標準型の点字ブロックにおいても、歩行速度による突起識別の効果が異なることが示唆され、高齢の視覚障害者に対する低プロファイル型点字ブロックの機能性を再評価する必要性が生じている。そのため、高齢の点字ブロック非利用者ばかりでなく、視覚障害者の歩行の仕方と点字ブロックの検出や識別の検討を同時に進める必要性が生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
視覚障害者の歩行の歩行速度や路面の踏み方などのパラメータ変更が、現行の視覚障害者誘導用ブロックと新しく開発した低プロファイル型点字ブロックにおいて、突起の検出や識別にどのような差異を生じるかを検討する方針である。それに加えて当初の目的である高齢の点字ブロック非利用者における躓きや転倒の要素についても抽出を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
開発と評価を進めてきた突起の高さを下げた、所謂低プロファイル型の視覚障害者誘導用ブロックの基本である視覚障害者に対する機能性が、特に高齢者において低下する可能性が見いだされた。そのため、従来前提としていた視覚障害者に対する機能性について確認を行う必要性が生じたためである。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究費は主に被験者への謝金や交通費に充てられる。また、今まで使用してきた視覚障害者の利用を意図した視覚障害者誘導用ブロックの形状を変更したものの試作を試みる予定である。更に、今までの研究を国際学会、国内の学会において発表するための経費にも使用する予定である。
|