2014 Fiscal Year Research-status Report
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26350668
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Research Institution | Hokkaido University of Science |
Principal Investigator |
宮坂 智哉 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (10404758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 敏明 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (40248670)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 神経筋疾患 / 意思伝達支援 / 電子透明文字盤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究開発課題は、ALS(Amyotrophic Lateral Sclerosis;筋萎縮性側索硬化症)などの患者(対象者)と介護者を対象とした意思伝達支援装置である、電子透明文字盤を開発するものとした。平成26年度はシステム構成としてハードウェア構成、アプリ構成を検討し、開発ツール仕様ECCB001を確定して開発を進めた。 1.システムの構成検討;ハードウェア構成はアンドロイド端末2台を一組とする構成とした。従来の透明文字盤の置き換えを想定する場合はタブレット端末を背中合わせにして設置し、介護者が離れる場合は端末を離して設置するものとした。装置の機能、アプリ構成は、1.対象者、介護者ともに文字入力の決定をする入力決定アプリ、2.文字盤を作成してモニタ上に表示する文字盤アプリ、3.決定した文字をテキスト化し、音声出力や他アプリに入力するアプリの3つのアプリを導入するものとした。 2.アプリ開発;入力決定アプリについては、介護者の入力を可能にするアプリを作成した。患者の顔面表情筋の随意収縮による表情変化をタブレット上で確認し、タップ操作で入力を決定した。文字盤アプリについては、ひらがなを5文字ずつ並べた表構成にしたものを作成した。患者、介護者双方が表をリアルタイムに連動して確認可能とした。テキスト化アプリは、文字盤アプリ上のひらがなを入力決定アプリで入力決定した文字をテキスト形式にして出力するものを作成した。 3.システムの基本評価;動作確認を実施した。文字盤の表示、文字の決定および入力、入力した文字のテキスト化を確認した。 以上の開発を研究分担者から助言を受けて実施した。加えて先行的に夜間使用や患者の表情変化を詳細に検出する目的で、可視画像に加えて赤外線領域の熱画像によるヒト動作を検出するシステムの研究開発について国際会議で発表をし、また本研究の関連技術情報を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の達成度は、概ね順調に進展しているものとした。計画ではアプリ開発について、3種類のアプリのうち、入力決定アプリを先行して開発する予定だったが、製作依頼先と使用打合せや実現性を検討したところ、3種類のアプリを並行して開発することで、システムの実効的な機能、評価を可能にしていく方法に変更した。その上でシステムの開発を進めたところ、透明文字盤としての機能を電子的に可能としたことで、電子透明文字盤を具現化することができ、研究の進行としては予定通りに進むことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、26年度に引き続きシステムを構成するアプリを開発する。入力決定アプリについては、患者による入力を可能とする機能を追加する。文字盤アプリは、かな、ローマ字、数字、絵文字、よく使う単語、日常会話などから構成し、任意に組み合わせ可能とする。また、文字盤は自動スクロールやスキャン移動で、該当する文字を検出エリアに配置する。また文字盤をタブ表示して、複数文字盤の呼び出しを容易にする、文字の拡大縮小やグループ化をして折りたたみするなどを可能とする。文字盤の編集、保存、読み出し可能とするものとする。テキスト入力アプリは、文字盤で決定した文字を文章化し、テキスト化する。テキスト化した文章は保存しテキスト読み上げや、他のアプリにテキストを入力することを可能にするものとする。それらの中から、実施可能なものを優先的に選択して開発を進める。 装置の基本操作、仕様の評価として、開発した3つのアプリを装置に導入し、操作方法の確認をする。3種類のアプリ相互の干渉や他アプリの干渉の有無を確認し、必要に応じてデバッグを行う。 平成28年度は、開発した電子透明文字盤の評価を実施し、研究のまとめを行う。健常者により対象者、介護者役を設定して、開発した装置の試用評価を実施する。評価は基本的な操作が可能かを確認の上、指定した文字入力にかかる時間、失敗の頻度、使いやすさや介護者の取り扱いの負担に関する評価を実施する。対照として従来の透明文字盤を用いて同じ評価を実施し、結果を比較する。また安定した動作が可能なことを確認の上、ALS患者および介護者に試用評価を依頼し、同意が得られた上で試用評価を実施する。試用評価から装置の効果を検証し、研究のまとめをする。
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Causes of Carryover |
当該年度所要額2,080,000円に対して、実支出額は2,076,876円と、予定より3,124円余剰した。研究計画が概ね予定通り達成し、残額が少額であったため、来年度の研究予算に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度は交付予定額1,200,000円に当該年度余剰額3,124円が加わり、1,203,124円の予定となるが、当初研究予定を想定して、物品費800,000円に対して803,124円、他の費目は計画通りとし、旅費300,000円、人件費・謝金は50,000円、その他は50,000円とする。余剰分は実験系構築の際の消耗品購入にあてる予定である。
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Research Products
(1 results)