2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26350678
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Research Institution | Meiji University of Integrative Medicine |
Principal Investigator |
赤澤 淳 明治国際医療大学, 保健医療学部, 講師 (10460742)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マルチチャネル表面電極 / 上肢 / 運動時 / 重畳波形 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景・目的】ヒトの運動時における神経筋の機能的最小単位は運動単位である.そのため,スポーツや臨床の分野において,単一運動単位の活動動態を知りたいといニーズは極めて高い.非侵襲のマルチチャネル表面電極を用いて単一運動単位の動態計測を行うための課題は2つある.一つは,運動時において単一運動単位の活動電位波形の形状が変化することであり.もう一つの課題は重畳波形に対応した同定方法の構築である.本研究では,これら2つの課題を解決するために,マルチチャネル表面電極により記録した表面筋電図を解析するアルゴリズムを提案した. 【方法】上腕二頭筋短頭を計測対象として,10%MVC程度のトルクの負荷に対して,5 deg/sec程度の速度で肘を屈曲するように被験者に指示をして,マルチチャネル表面電極を用いて信号の記録を行った.この筋電図信号の解析には提案するアルゴリズムを適用した.このアルゴリズムの特徴は2つある.一つ目の特徴は,運動時において皮膚表面で計測される活動電位波形の形状の変化が極めて少ない短区間において活動電位波形の同定を行っていることである.さらに,個々の単一運動単位の活動電位波形を加算平均することによりテンプレートを作成していることである.もう一つの特徴は,これらのテンプレートを組み合わせて作成した活動電位波形と計測した重畳波形の一致度を計算することにより,重畳波形に対しての同定を行っていることである. 【結果】肘を屈曲させる動作時において上腕二頭筋短頭を計測対象として,マルチチャネル表面電極を用いて単一運動単位による活動電位波形だけでなく重畳波形に対しても同定を行うことが可能なアルゴリズムを提案して同定を行い,本提案手法の有用性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ヒトの運動時において記録したマルチチャネル表面筋電図に我々が開発したアルゴリズムを適用して,単一運動単位による活動電位波形の同定を行った.このパーソナルコンピュータにより作成された同定結果と目視による同定結果を比較することにより,パーソナルコンピュータによる同定処理が正しく行えているか確認を行った.本研究において提案する手法の真値は我々の目視によりおこなった同定結果である.目標とする同定処理が行えていない場合については,真値とする同定結果によく一致するようにアルゴリズムの修正を適宜行った. アルゴリズムの基本処理について述べる.はじめに,単一運動単位の活動電位波形について同定を行い,次に重畳波形についての同定を行う.すなわち,はじめの同定結果をもとにして単一運動単位の活動電位波形によるテンプレートを作成する.次に,このテンプレートの組合せることにより重畳波形を作成し,パーソナルコンピュータにより作成された活動電位波形と計測された重畳波形との一致度を計算し,重畳波形に対応した同定を行った.これらの一連の処理において,筋力トレーニングをよく行う皮下脂肪組織の薄い被験者にも対応して解析を行うアルゴリズムの作成に予想以上の日数を要したために進捗が遅れています.
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Strategy for Future Research Activity |
皮膚表面で記録される運動単位の活動電位波形の同定について,その目的とするところはヒトが目視によって行っているのと同じような処理をパーソナルコンピュータが行うことである.このような処理を実現するためのアルゴリズムを作成するための課題の一つは運動単位の活動を全体としてみるとことである.すなわち,我々がこれまでに作成した運動単位の活動電位を同定するアルゴリズムは短区間での同定であり,短区間と次に続く短区間との同定結果の比較は現在行っていない.この連続する区間について調べることにより,我々が目視により行っている同定処理により近い作業をパーソナルコンピュータが実現することが可能になると考えており,このような処理を行うプログラムを作成する.
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Causes of Carryover |
上肢の運動時において,皮下脂肪組織の薄い被験者を対象とした上腕二頭筋短頭の表面筋電図を記録した場合,皮膚表面で計測される単一運動単位による活動電位波形の形状変化が予想と異なり大きく,これまでに適用してきたアルゴリズムのパラメータを変更して目標とする同定結果を取得することが困難であった.このため,目標とする同定結果が得られるようにアルゴリズムの修正を行うのに日数を要したため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまで我々が作成してきた上肢の運動時において皮膚表面で計測される運動単位活動電位波形の同定を行うアルゴリズムは,単一運動単位による波形の形状があまり変化しない短区間を対象として同定を行うものであった.このアルゴリズムでは,この短区間と短区間とのつながりについては解析を行っていない. 今後はこの短区間と短区間との同定結果を比較し同定結果を更新することにより,目視により我々が行っている同定処理により近い処理をパーソナルコンピュータ上で行うためのアルゴリズムを作成する.
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Research Products
(2 results)