2015 Fiscal Year Research-status Report
世代間交流における役割の獲得と認知症発症の関係について
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26350686
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Research Institution | Fukui College of Health Sciences |
Principal Investigator |
堀 敦志 福井医療短期大学, その他部局等, 教授 (40446175)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 世代間交流 / 認知症予防 / 介護予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
21世紀ビジョンにおいて、世代間交流の必要性が強調されて以降、世代間交流の取り組みが盛んに行われるようになってきている。しかし通所施設における世代間交流の試みや精神障害者を対象とした研究は少ない。そこで本研究では、「介護予防を目的とした高齢者」と「就労を目的とした青年者」との双方の世代間交流について検討し、さらに世代間交流における「役割の獲得」と「認知症予防」との効果との関係についても経時的な変化から効果を検討することを目的としている。 対象は精神科デイケア利用者とした。そのうち「世代間交流群」を土曜日利用者40名、「非世代間交流群」を金曜日利用者50名と設定した。世代間交流については、意図的に世代間交流を図るため、高齢者と青年者が協同して実施するグループを4チームつくり、1回/1ヶ月の定期的な頻度でサタデーカップと命名した風船バレーボール大会を実施している。この大会は1年間の通算成績を掲示しながら、継続した世代間交流を図るように実施している。大会開始後1年間が経過し、年間の順位を決定した。また今年度はチーム編成を再構成した上で、再スタートしている。また、「非世代間交流群」については、高齢者のみのプログラムを実施しており、世代間交流には参加していない。 現在、「世代間交流群」のべ47名と「非世代間交流群」のべ50名について、2年間の変化について集計を実施している。両群ともに身体および精神機能面ともに有意な変化は見られていない。今後も経時的変化を追っていく予定である。 さらに、昨年度から、地域の健常高齢者を対象に、身体機能面と認知機能面の評価を実施しており、一般高齢者との比較もできるようにデータを収集している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、「世代間交流群」のべ47名および「非世代間交流群」のべ50名について、それぞれ身体機能面については約3ヶ月ごとに、精神機能面については約6ヶ月ごとに調査を継続して実施している。 身体機能面に関しては、「握力」「開眼片足立時間」「5m歩行速度」について調査を実施し、同時に総合的視標として「基本チェックリスト」についても調査している。また精神機能面としては、認知症の評価として、「HDS-R」、うつの評価として「GDS15」について調査を実施している。 なお、データ収集について、予定数よりも若干少なめであるため、 今年度より、地域在住高齢者の「一般高齢者群」としてのべ22名に関してもデータを収集しており、比較検討しやすいようにしている。 「一般高齢者群」については、身体機能面を中心に評価を実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、研究の進捗状況としては概ね順調に進展しており、「世代間交流群」と「非世代間交流群」について、研究開始から約2年間のデータを収集し分析を実施中である。両群とも身体および精神機能面ともに有意な変化は見られていない。 今後1年間、継続的なデータ収集を実施し、群間の比較を検討していき、さらに「一般高齢者群」との比較もしていく予定である。また量的データのみならず、多職種間による質的データの収集も実施しており、質的分析についても検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度に関しても、昨年度に購入したタブレットにてPCおよびデジカメの代用として使用しており、物品費に差額が生じている。 また、今年度も旅費に関しては請求をしておらず、そのことも要因と考える。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は研究最終年度であり、文献および統計ソフトの購入や研究発表など、計画通りの軽費が必要になると考える。
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