2015 Fiscal Year Research-status Report
体育理論を中心とした中学・高等学校におけるオリンピック教育の体系化
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26350706
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宮崎 明世 筑波大学, 体育系, 准教授 (10517197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真田 久 筑波大学, 体育系, 教授 (30154123)
岡出 美則 筑波大学, 体育系, 教授 (60169125)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | オリンピック・パラリンピック教育 / 教育プログラム / 授業づくりワークショップ / ロンドンオリンピックの教育的レガシー |
Outline of Annual Research Achievements |
教員向けのワークショップについては、26年度の第1回を受けて、27年度7月に第2回の教員向けの授業づくりワークショップを実施した。第1回の参加者の中からこれまでの実践報告を依頼し、それを参考に参加者がグループワークを行って、学校で実践できる活動計画を作成し、発表した。第1回と比較して応募数が多く、54名の参加者を集めることができ、短期の募集期間にもかかわらず関心が高まっていることがうかがえた。その内訳も学校の教員がほとんどで、グループワークにおいてもすでに行っているプログラムの体験談や各校で苦労している点などを共有でき、より実践的な活動を行うことができた。グループワークの成果としての活動計画も、年齢段階にあった内容を用意して学校全体で取り組めるようにするなど工夫が見られた。 教材の開発については、教育の体系化に向けて諸外国の教育の内容や教材について資料収集を行い、内容の検討を行った。年度の後半ではイギリス、ラフバラ大学を拠点に研究を行い、2012年ロンドンオリンピック・パラリンピックの教育的レガシーについて、公式教育プログラムであった”Get Set”を中心に、調査及び資料の収集を行った。Get Setを行った小中学校を訪問してインタビューを行い、大会の3年後に当たる現在の状況を調査した。また、ローザンヌのOlympic Study Centreにおいて、現在及びこれまでのオリンピック・パラリンピック教育の教育プログラムや教材について文献調査を行うとともに、ドイツのミュンスター大学、ドイツ体育大学を訪問して資料収集、インタビュー調査を行った。 26年度に実施した、ドーピングに関する授業の教材および授業実践と教員向けのワークショップの成果について研究成果をまとめ、研究誌に投稿して社会に発信しようとしているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年8月のリオデジャネイロ大会を受けて、2020東京大会に向けての準備が本格化することになるが、27年度には次年度からの本格的な実施に向けて、文部科学省や東京都を中心に国内の整備が進められた。このような状況を受けて本研究の計画の一つである、オリンピック・パラリンピック教育の教材化については、年度ごとの計画を変更し世界各国の教育プログラムについて、調査、検討を行った。テキスト化、DVDの作成についても、東京都のテキストや大会組織委員会、JOCなどのホームページの整備も進んできたことから、年度ごとのテーマについてのテキスト化はせず、論文として研究誌に投稿するなどして、社会に発信することとした。26年度の成果について27年度に投稿論文をまとめ、論文審査中であるとともに、27年度の研究成果をもとに雑誌の原稿執筆および学会発表を行うべく準備中である。 諸外国のオリンピック・パラリンピック教育のプログラム及び教材について、実際に現地(イギリス、ドイツ、スイス)に行って資料の収集やプログラムの実践者および研究者に対してインタビューを行うことができた。この点に関しては当初の計画よりも発展した成果をあげることができた。さらにラフバラ大学イアン・ヘンリー教授と共同で、オリンピック・パラリンピック教育に関する文献のシステマティック・レビューを行い、英語文献と日本語の文献の内容について比較する研究を進めている。ラフバラ大学の博士課程の学生と協力して具体的な方法についてディスカッションを行い、評価法についてトレーニングを繰り返した。この手法を使って今後研究を進め、共同での研究発表、論文の投稿を目指している。この点も当初の計画より発展する方向に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
オリンピック・パラリンピック大会の開催を契機として教育のシステムや内容、教材や教育を行う周辺環境や社会的な理解と関心などさまざまな面での整備を進め、その後もそれらを活用して教育を継続することが求められる。オリンピック・パラリンピック教育の取り組みを一過性のものにせず、真のレガシーとするためにも28年度から4年間の取り組みは重要である。本研究におけるオリンピック・パラリンピック教育の体系化、教材の開発に関しては、方向性を修正しながら、中学・高校の体育理論にとどまることなく学校で行うことのできる活動について検討を進めていく。また、27年度の成果としての海外の教育プログラムや教材の事例についてさらに検討を進め、日本の教育制度や文化に合った教育プログラムや教材の作成に役立てる。これについてはまず、これまでに収集したデータの整理をするとともに、今年行われるリオデジャネイロ大会についても、調査研究を進める。具体的には、8月初旬にブラジル、ポート・アレグロで行われる国際学会に参加して、研究発表および情報収集を行う。合わせて、オリンピック・パラリンピック開催時の教育プログラムの展開について現地調査を行う。 教師向けのワークショップに関しては今年度の後半に第3回を計画・実施し、これまでの実績をもとに実践報告やグループワークで情報共有を行い、今後4年間で教育プログラム・アワードに発展するような内容を検討する。そのために都内を中心に教育プログラムの実践校を訪問し、実地調査を行ってワークショップでの実践報告やグループワークに活用する。 今年度は計画の最後の年にあたり、成果のまとめと社会への発信が求められるため、学会での発表や論文の投稿、雑誌の記事の掲載などを進める。先に述べた通り、これから先の取り組みが重要であるため、今後の土台となるような研究を進める。
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Causes of Carryover |
当初の計画では年度ごとに成果報告のための冊子、DVDを作成する計画であったが、教材化に関する研究成果は、冊子体で印刷せずに学会誌等に投稿することとして、社会への発信の方法を変更した。ワークショップのための予算は講師の交通費や謝金を支給せず、補助学生の交通費のみ支出した。また、データ処理のための機器及びソフトを購入せず、その分の経費を海外調査の旅費にあて、差額を次年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
リオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピックに合わせて開催される国際学会への参加、および大会周辺の教育プログラムの調査・研究のための旅費として使用する。また、ワークショップおよび教育実践の調査のために各地への交通費としても使用する。データの処理に必要な機器やソフトの購入も計画している。また、研究最終年度となるため、研究成果をまとめて、資料を残すための支出を計画している。
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Research Products
(2 results)